【関根潤三さんを悼む】量より質の打撃指導 試合を想定…全力で振れば30スイングで全身汗だらけに
2020年4月9日 20時57分
【関根潤三さんを悼む】井上弘昭さん
みかけは、細身で穏やか。でも、指導は熱く、しつこい人だった。
私が指導されたのは、広島に入団して3年目の1970年の1年だけだが、忘れられないコーチの1人だ。関根さんは東京から単身赴任して、同じ合宿所に住んでいたから、ほぼ24時間、同じ屋根の下にいたと言っていい。確か、関根さんは初めてのコーチだから、張り切っていたと思う。
試合を終え、合宿所や宿舎に帰れば、大広間でまず守備コーチの広岡達朗さんから、当時、内野に転向したばかりの私にゴロ捕の基本をみっちりと1時間くらい、教わる。そして次が打撃コーチの関根さん。「ひろあき、振ろうか」と必ず声をかけてきた。それまで、ほとんど指導らしい指導を受けたことがなかった私には新鮮でありがたかった。
関根さんの場合は、量というより質を重視されていた。良く言われたのは「全力で気持ちを入れて振れ」。ただ振るだけでは「今のは素振りじゃない」と言われ、状況、狙い球など試合を想定し、全力で振れば、30スイングでもう全身汗だらけになる。そんな生活が1年、続いた。
残念ながら、関根さんの在籍中は結果を出せなかったが、その積み重ねが中日に移籍した後の74年に花開いた。翌年には、広島が優勝。一緒に汗を流した山本浩二、衣笠祥雄、三村敏之、水谷実雄が主力だった。
監督としては成績を出せなかったが、間違いなく名指導者の1人。心からご冥福申し上げたい。(本紙評論家)
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