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萩原智子さんが語った池江璃花子の凄さ「筋力、体重がない分、泳ぎ、技術でカバー」【東京五輪・競泳展望】

2021年7月24日 06時00分

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池江璃花子

池江璃花子

 競泳は24日に競技が始まる。「半分以上が初出場と、新しい選手が多い。3年後にはパリ五輪なので、いい形で新陳代謝ができているという印象です」と語るのは、本紙評論家で、2000年シドニー五輪女子日本代表の萩原智子さん。白血病から復帰して2大会連続出場を果たした池江璃花子(21)=ルネサンス、金メダル獲得を狙う個人メドレーの瀬戸大也(27)=TEAM DAIYA=ら日本代表について、期待やライバル選手など観戦ポイントを語ってもらった。
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 白血病から復帰して、目標にしていたパリ五輪よりも3年早く、池江は東京の舞台に立つ。
 萩原さん「誰もが想像していなかったと言うか、本人もおそらくここまでというのは想像していなかったと思います。『リレーの自由形で代表に入ればいいかな』と思っていたと思うんですが、それがバタフライでも(日本選手権2種目優勝という)結果が出て、メドレーリレーでも代表入りしました。今回、個人種目での出場はないですが、(代表入りが)かなりの自信につながって、リレーでも力を発揮してくれると思います」
 萩原さんから見た池江の泳ぎのすごさとは。
 「頭から本当にお尻、太ももあたりまで、よく水の上に浮いています。水を捉える力もそうなんですが、やはり体の中心線、軸がしっかりしているから、ぶれずに水の抵抗を受けない。そういうところがすごいと思います。そして、ワンストロークごとに遠くの水をよくつかんでいます。(水中からの映像で)下から見ると、手から脇、脇から脇腹と、とにかく一直線にきれいに伸びている。伸ばしている時間って一瞬。池江選手はその一瞬のうちにきれいに伸びて、遠くの水をつかんで押し切ることができるんです」
 萩原さんは、病後の筋力不足を補う技術の高さに感嘆の声を上げる。
 「体重が減っているので、スタート、ターンのところでタイムロスしてしまうところは仕方がないところだと思います。病気をされて体重が減っても、彼女の技術力と勝負勘はなくならなかった。(本番で力を)出し切る強さは天下一品です。筋力、体重がない分、泳ぎ、技術でカバーしていることが意識的ではなく、自然とできているところがすごい。そして何よりも精神面の強さが彼女を支えていると思います」
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 瀬戸選手について
 「男子400メートル個人メドレー決勝は、メダルが確定するレースのトップバッター。瀬戸選手が自身の目標である金メダルを取れるか、取れないかで後半に向け、チームとしても瀬戸選手にしても、おそらく雰囲気が変わるでしょう。その日は女子400メートル個人メドレー決勝(大橋ら)、女子(の400メートル)フリーリレー(決勝)などもありますが、結果をどう残せるかがカギなので、相当なプレッシャーがかかっているとは思います。ただ、この初日の流れについて、該当選手たちは自覚をし、プランを練っています」
 「瀬戸選手の一番のライバルといえば、ケイリシュ(米国)。ただ、今季のタイムを見ると、彼もそこまでは上がってきていないんです。実力通りに力を発揮できれば、瀬戸選手の金メダルは可能と思っています」
 「3泳法目の平泳ぎのベストラップは、ケイリシュが1分7秒6、瀬戸選手は1分9秒8で、2秒縮められてしまうという恐ろしさがあります。最後の自由形はほぼ同じくらいなので、バタフライ、背泳ぎの前半200メートルまでに2、3秒の差をつけられるかどうかが、鍵になりますね」
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 大橋について
 「去年の冬場は体調を崩し、納得する泳ぎ込みができなかったと聞いています。今年の4~6月辺りも本来の泳ぎができない苦しさもあったようですが、長野での高地トレーニングで、いい泳ぎが戻って手応えもつかんでいるそうです。(本番の)朝決勝を想定してレースも行っています。レース前は、早起きをしてお風呂に入り体を温め、体が動くようさまざまな工夫をしています。その経験はとても大きいと思います。日本記録(自身の持つ4分30秒82)を超えられれば、いい結果はついてくると思います。メダル圏内にはいます」
 「最大のライバルは、アイアンレディーといわれているホッスー(ハンガリー)ですが、今季はまだ調子が上がっていません。レースを重ねて調子を上げていくタイプ。(直前に)レースを重ね、スピードを上げているようなので、やはり怖い存在です」
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 松元について
 「ライバルはラプシス(リトアニア)だけではなく、たくさんいます。持ちタイムではラプシスですが、英国の選手も、ロシアの選手も記録を伸ばしてきているので、ラスト50メートルは横一線になるでしょう。英国の一番手、スコットはすごくスピードのある、前半に速い選手で、ロシアのマリュチンという選手も今季一気に伸びてきました。松元選手が強化を続けてきた『ラスト60メートルからのラストスパート』、つまり最後のターンの前からラストスパートがうまく決まるかどうかが勝利の鍵になります」
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 佐藤について
 「佐藤選手は『150メートルまででどれだけ差を広げて、ラスト50メートルに持っていけるか』と話しています。(ライバルの)チュプコフ(ロシア)は、ラスト50メートルのラップが驚愕(きょうがく)の速さです。前半はゆったりと泳いでいますが、ラスト50メートルを31秒8で泳ぎ切ります。他の選手はだいたい33秒0から32秒後半なので、今までもラスト50メートルで逆転されています」
 「ただ、2人は一緒に泳いだことがない。日本勢では今まで渡辺選手、小関選手という素晴らしいスイマーと戦ってきたんですが、今代表の佐藤選手、武良選手はニューフェース。佐藤選手のレースを研究をしているとは思いますが、『あれ、サトウ速い』と動揺すると、焦って泳ぎが崩れる可能性もあります。チュプコフにとって佐藤選手は、不気味な存在だと思います」
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 萩原さん注目の選手
 《日本代表編》
 「長距離女子に期待をしています。久しぶりに派遣標準を切って、小堀選手と難波選手が入って、すごくうれしいですし、頑張ってほしいです。800メートル自由形の日本記録は2004年に山田沙知子さんが出した記録(同年4月の8分23秒68=日本最古)。日本記録を更新すれば決勝に出られると思うので、まずは自己ベスト、日本記録を目指してほしいです」
 《外国人編》
 「男子100メートル平泳ぎのアダム・ピーティ(英国)。短距離種目ですが、オリンピックじゃないくらいの差がつきます(笑)。断トツ、です。世界新記録が出る可能性が高い種目でもありますし、打倒ピーティで強化をしている選手も出てきていますので、どんなレースになるのか楽しみです」
 「平泳ぎというと、北島康介さんの美しい泳ぎ、大きな伸びのある泳ぎのイメージがあると思いますが、ピーティはとにかく上半身でガンガンガンガン行く、パワフルな感じ。北島さんは(08年)北京五輪100メートル優勝のときに37回、手をかいているんですが、ピーティは(15年)世界選手権優勝のとき47回。そういう指標を持って、ストローク数を数えるのも面白いかもしれないですね」
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