外壁は広告看板 美術家・村上慧さん、名古屋・四間道の「稼ぐ家」
2021年7月23日 05時00分 (7月23日 05時00分更新)
広告看板を大量に掲げた手作りの「家」を名古屋市内に設置し、寝泊まりしている現代美術家がいる。生活の糧は、家の壁や身の回りのものに書かれた広告からの収入のみ。ユニークな試みで、実体の見えない「貨幣経済」の意味を問いかける。 (宮崎正嗣)
美術家の名は村上慧(さとし)さん(32)=東京都三鷹市。古い町並みの残る名古屋市の四間道(しけみち)地区にある店の軒先に家を建て、十三日から三週間の期間限定で生活している。家の大きさは幅一・二メートル、長さ一・五メートル。地面から高さ約九十センチの位置に床があり、床から天井も高さ九十センチほどしかない。床の穴から中に入り、寝るときは、対角線上に横たわる。
この生活は「広告看板の家 名古屋」と名付けたプロジェクト。壁の素焼きタイルには一枚ずつ、企業などのロゴマークが広告として掲げられている。村上さんの服装や身の回りの雑貨にも、広告がびっしり。今回のために広告費として一口五万円を募り、名古屋を中心に企業や商店、個人から十七口集まった。広告収入で家の建材を購入し、食事やクリーニングなど、期間中の生活費に充てている。
活動の原点は十年前。武蔵野美術大建築学科を...
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