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過去には”別枠実施”も…防疫管理が大きな障壁になる五輪馬術競技 日常的なノウハウ持つJRAの協力で完璧に行われる様が見られるだろう

2021年7月23日 06時00分

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「競馬は科学だ」

「競馬は科学だ」

◇獣医師記者・若原隆宏の「競馬は科学だ」
 賛否渦巻く中、という状況を、招致活動の段階で誰が想像しただろうか。東京五輪は一部競技がすでに始まり、23日には開会式を迎える。JRAは通常日程では3場開催の時期だが、新潟・函館の2場に絞った変則開催に組み替えている。「国家的イベントとの競合回避」という意味合いもないではないのだろうが、五輪馬術競技への積極的協力の意味合いが大きい。
 JRAがテレビなどのCMで打ったコピー「世界の馬術がやってくる」が端的に示しているように、日本で世界トップレベルの馬術競技が行われることは、五輪をおいてないだろう。
 単に、日本における馬術の普及率・人気という問題ではない。世界中から選手のみならず馬匹も集まるため、家畜防疫上の管理が大きな障壁になるからだ。
 実際、馬術は過去の夏季五輪で“別枠実施”を強いられたこともある。1956年メルボルン五輪ではスウェーデン・ストックホルムで先行実施。2008年北京五輪では、中国国内ではあるものの五輪参加枠が別建ての香港。どちらも理由は家畜防疫上の問題だった。豪州は2000年のシドニー五輪では、この種の問題に対応し、国内に参加競技馬を招き入れている。
 日本の家畜防疫態勢は豪州ほどハードルは高くないし、中国の大陸部と異なり、競馬のために馬の一時輸出入の基本的なルールはすでに整備されている。それでもたくさんの馬匹が入国するのに対応できるのは、JRAあってこそだ。
 JRAは国内随一の馬の専門医をそろえた機関である。先週、「理想を言えば馬の専門医は足りない」と書いたが、JRA内に限った話であれば、質も量も足りている。むしろ世界的にはリードしている分野も複数持っている集団だ。特に東西トレセンを中心とした内厩制で馬の出入りを管理しているJRAは、局地的な防疫管理(いわゆるバブル管理)のノウハウを日常業務の積み重ねとして持っている。
 コロナ禍における人の入国防疫管理がザルだと批判を浴びているのとは対照的に、五輪馬術競技によってわれわれは、馬匹の防疫管理が完璧に行われる様を見せてもらうことなるだろう。皮肉にして複雑な心境である。

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