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夏の頂点次こそ 「考える野球」金津躍進 高校野球福井大会

2021年7月22日 05時00分 (7月22日 09時58分更新)

ピンチで藤田投手(右)のもとに集まる金津の内野陣。「考える野球」で快進撃し、初の決勝を戦った=21日、福井市の県営球場で(蓮覚寺宏絵撮影)

 福井市の県営球場で二十一日にあった全国高校野球選手権福井大会決勝。創部三十八年目で初めて夏の大会の頂上決戦に挑んだ金津は、敦賀気比に0−7で敗れた。過去に二年連続で、春の甲子園の二十一世紀枠候補校に選ばれた実績があるが、公式戦で決勝まで勝ち上がれたのは戦力が一新する秋だけ。この夏の快進撃は、一人の投手が入学し、先輩たちの野球を受け継いだことで生まれた。(谷出知謙)
 福井市川西中時代、県内の軟式野球部で世代ナンバーワンと評された左腕の藤田貴志投手。強豪私立勢の誘いをすべて断り、斎藤滋監督を慕って金津への進学を決めた。「自分で考えるのが良いなと思った」。中学時代に硬式で活躍した浜出武蔵主将や森岡桜介捕手のほか、軟式出身の好選手もそろった。
 「うちの投手はかわすタイプばかり。藤田は小さく育てたくなかった」と斎藤監督。強豪勢との戦いでは真っ向勝負を挑み、負けた。一年の秋に背番号1を付けたが、その年も二年の秋も県大会は八強で敗退。昨秋は敦賀気比に2−8で敗れ、力の差を知った。
 選手の考えを尊重し、ベンチ一体となって戦うのが斎藤野球の真骨頂。相手チームの傾向と対策を指揮官が練り、選手が試合中に相違点を挙げ、答えを導く。そうして二〇一七(平成二十九)年と一八年には秋の県大会で決勝に進み、一七年は初優勝した。
 しかし今の選手たちは違った。「コロナ禍で練習試合を積めていないからなのか、甘いんです」。チームが変わったのは秋の敗戦から。「自分たちに何が足りないかを考えた。一体感を持とうと意識した」(浜出主将)
 オフのトレーニングから厳しく指摘し、良いところは褒め合った。プロ注目になった藤田の存在もあって、県外の業者が毎月、ボールの回転数などを測ってくれるようになった。環境に恵まれ、組織はぐっと引き締まる。打撃戦で負けた春の県大会を終えると、バッテリーはどうすれば連戦で勝てるかを考え、打たせて取る術を磨いた。
 この大会は毎試合、対戦相手を考慮し、バッテリーで誰を先発させるかを決めた。打撃陣は相手投手の癖や球筋を細かく伝え合い、指揮官にも進言した。先輩たちが築いた「考える野球」を形にし、初めて夏の四強入り。そして準優勝と歴史を刻んだ。
 「敦賀気比との差は近いようで大きかった。次の代にはあと1勝を勝ち取ってほしい」。すがすがしく、浜出主将はバトンを託した。

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