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高岡おりん 五輪へ響け 神職の遺志継ぎ 動画配信へ 平和願い 家持の歌に乗せ

2021年7月22日 05時00分 (7月22日 05時01分更新)
おりんを響かせる故酒井晶正さん=2017年9月、富山県高岡市の高岡関野神社で

おりんを響かせる故酒井晶正さん=2017年9月、富山県高岡市の高岡関野神社で

  • おりんを響かせる故酒井晶正さん=2017年9月、富山県高岡市の高岡関野神社で
  • 収録に向けリハーサルを重ねる小川美香子さん=21日、東京都内で

 富山県高岡市で生産された仏具おりんが奏でられる中、万葉歌人の大伴家持(おおとものやかもち)の和歌が高らかに歌い上げられる−。そんな動画が、東京五輪パラリンピックに合わせ東京都が開設したウェブサイトで8月中に配信される。3月に62歳で亡くなった高岡市にある高岡関野神社の元神職、酒井晶正(あきまさ)さんは生前、おりんの音を響かせて世界平和を祈る「おりんDeオリンピック」を唱えており、その願いが実現する。 (沢井秀和)
 奏でるのは打楽器奏者小川美香子さん(東京都)ら五人。小川さんが中世の教会の鐘に近い音が出るおりんがあると聞き、二〇一九年に高岡市の仏具制作卸「山口久乗」を訪問。音階が調律されたおりんの楽器「久乗編鐘(へんしょう)」と出合った。
 その際、酒井さんらでつくる「高岡音風景の会」がJRに働き掛け、〇五年に高岡駅の発車音として採用されたことを知った。
 「平和の祭典に合わせ、古くて新しいおりんの音の文化を世界に届けよう」「東京五輪は無理でもフランスでもアメリカでも良い。夢は継続してゆく事に価値がある。良い夢は必ずかなう」。酒井さんのそんな思いも聞かされた。
 心を動かされた小川さんは、おりんの演奏動画で、東京都の芸術家支援事業に参加。都は寄せられた七千七百組の動画から、小川さんら十数組を選び、代々木公園の特設会場で公演を計画したが、コロナ禍でステージが中止に。改めて収録しての動画配信となった。
 小川さんの配信は二十五分間で六曲のうち四曲でおりんを使う。新春に良いことが続くよう願う家持の和歌「新(あらた)しき 年(とし)の始(はじ)めの初春(はつはる)の 今日降る雪の いや重(し)け吉事(よごと)」を披露する。
 和歌は、音楽家・雅楽奏者の太田豊さん(45)=富山県小矢部市出身=がおりんを奏で披露してきた。曲は映画「ゴジラ」のテーマ曲で知られる故伊福部(いふくべ)昭さんが作り、酒井さんが家族から演奏の許可を得ていた。
 小川さんは「悠久の祈りをよみがえらせることを目指す私がおりんを奏でるのも何かのご縁。おりんの音色を通じて古代・中世の祈りが今を生きる皆さまに届きますように」と話す。
 山口久乗の山口敏雄会長(77)は「おりんが平和を願う五輪に使われるのがうれしい。音色には人を結び付ける不思議な力がある。高岡銅器業界にとっても非常にありがたい」と喜んでいる。

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