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俺が吃音者 勇気を君に 富山出身 経営者ユーチューバー藤本さん

2021年7月21日 05時00分 (7月21日 09時54分更新)
藤本浩士さんが吃音への理解を訴えるユーチューブの画面

藤本浩士さんが吃音への理解を訴えるユーチューブの画面

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死を意識した過去「同じ悩みの子どもに力を」


 かつての自分と同じように苦しむ子どもたちを力づけたい。そんな思いから、発話に詰まったりする言語障害「吃音(きつおん)」がありながら、動画投稿サイト「YouTube」で話す様子を発信する「ユーチューバー」として活動している人がいる。富山市出身で当事者らでつくる「日本吃音協会(SCW)」(東京都)理事長を務める藤本浩士さん(38)=都内在住=だ。自らの声でメッセージを伝え続けている。 (高橋雪花)
 「俺が吃音者だ、話をしよう」。経営者でもあり「きつえもん社長」と名乗る藤本さんが、笑顔でゆっくりと視聴者に語り掛ける。時に言葉に詰まりつつ、子どもの頃に悩んだ経験を話したり、視聴者からの人生相談に応じたりする。つらい経験に話が移る場合もあるが、気軽な雰囲気だ。
 昨年七月から三十本を投稿した。中でも当事者に向け、日常生活での心の持ちようを助言する動画は約九千六百回の視聴を記録。自身の経験をもとに「つらい環境からは逃げても良い」などと語り掛ける姿に、視聴者からは「生きる勇気が湧いてきました」「周りの評価を気にせずに明日から胸を張って生きよう」といったコメントが寄せられている。就職活動での面接に不安がある学生に向け、社会人になったばかりの当事者に助言してもらう動画もある。
 かつては死を意識するほど悩んだ。小学生の頃、親友に吃音をまねされ、クラス中から笑われた。高校に入ると地元の不良集団に「話し方がムカつく」と殴られた。「子どもにとって吃音は正直、地獄なんですよ」と藤本さん。でも諦めなかった。高校中退後に石川県で働いたのち上京、現在は焼き肉店を展開する会社「アキト」社長などを務める。
 動画投稿はツイッターで吃音のある子どもたちから悩みが寄せられたのがきっかけだった。三十年前から吃音の子を取り巻く環境が変わっていないことに衝撃を受けた。「子どもたちを救いたい」。若い世代に影響力があるYouTubeでの活動を決断した。
 藤本さんは「コンプレックスを映像で残すのは恥ずかしいと思われるかもしれないが、自分の姿で社会に出る希望を持ってもらいたい」と話す。「吃音の子どもが自信を持てる社会をつくっていきたい。いや、つくります」

【メモ】吃音 言語障害で、言葉の一音目を繰り返したり伸ばしたりするほか、言葉が出にくくなる症状もある。全人口の1%ほどに吃音があるといわれ、幼児期に発症することが多い。原因として遺伝などが指摘されている。バイデン米大統領も少年時代に重い吃音で苦しんだことで知られる。


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