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【石川】「病」さらけ出して前へ 七尾の権谷さん 精神障害告白、作詞励む

2021年7月19日 05時00分 (7月19日 09時57分更新)
自宅でパソコンを使い演奏家らと音楽制作に励んでいる権谷達哉さん=石川県七尾市万行町で

自宅でパソコンを使い演奏家らと音楽制作に励んでいる権谷達哉さん=石川県七尾市万行町で

 石川県七尾市万行町の権谷(ごんたに)達哉さん(47)は国内外のミュージシャンとCDの共作を続ける。作詞に打ち込み、共作CDは二十枚を超える。一方で、大学時代に発症した統合失調症の影響で、睡眠が不安定で身体の不調が続く。精神障害を公にすることにためらいがあったが、同じように困難を抱える人の励みになればと、さらけ出す覚悟を決めた。(室木泰彦)
 権谷さんはFMかほく(同県かほく市)で通算一年半余り番組を担当したほか、CDの自費制作、外国人アーティストや親交のある演奏者による公演のPR、企画などにも関わる。
 月七万円の障害年金で母と暮らし、障害者雇用の募集があると期間限定で役所、施設などで働く。そんな中で、音楽活動をするのは「何としてもカムバック」との反骨心があるから。
 発症は富山大時代。卓球のサークル活動をし、大会運営もしていたが、卒業間近、運営を巡り人間関係がぎくしゃくした。極度のストレスと緊張が二週間続き精神的に破綻。統合失調症と診断された。
 三年ほど入退院を繰り返し、気分の浮き沈みが激しいそううつ状態が続いた。ごく親しい友人を除き仲間とは疎遠に。障害者雇用で採用された役所では、周囲の対応に冷たさを感じた。月一回の通院で症状が徐々に落ち着くのと同時に音楽制作を活発化した。
 今年二月、憧れの英国音楽プロデューサーのスチュアート・エップス氏との共作CD制作が実現。音楽制作のイロハを教えてくれたソニーミュージックグループOBの青木美高(よしたか)さん(69)=名古屋市=のおかげだという。「温かい導きでいろんなアーティストとつながった」。スチュアート氏が近年、後進育成に力を入れ、コロナ禍のオンライン交流で権谷さんに時間を割けたのもプラスに働いた。
 最近、心境に変化が。「反骨心だけでは限界がある。発症時の人間関係は破綻したまま。もう一度仲良くなる可能性を残すためにも少しでもわだかまりをなくせれば」。一方で、障害を明かすことでどう見られるか不安も大きい。それでも「障害を含めた自分の作品がどう評価されるのか興味もある」と新境地に挑む。

いつか分かり合える 信じ続けて「愛と絆テーマに詞」

 「いつか分かり合える そう信じ続けていたよ 笑顔に満ちた世界を/ここに対峙している 僕たちの今が 全ての答えなんだ/今僕たちは心から知る 君の全ての痛みを 全てを分かち合っているんだ…」
 権谷さんの作品「愛に満ちた世界」(抜粋)だ。権谷さんは、大事な人への愛、困難を乗り越える絆などをテーマとしている。
 代表作はスチュアート・エップス氏との共作「THE JOURNEY(ジャーニー)」。権谷さん作詞の十曲にスチュアート氏が曲を付けた。三年前に死去した父への思い、体調を崩し病床で感じた自身の人生などを描いた。六月には、幼少期を過ごした石川県穴水町の「ボラ待ちやぐら」を題材に楽曲「君待ちやぐら」を発売した。問い合わせは権谷さん=電0767(52)0935=へ。

【メモ】統合失調症=さまざまな脳の働きをまとめるのが難しくなる病気。幻覚や妄想などが表れたり、意欲低下、感情表現が少なくなる。なりやすい要因を持つ人が人間関係などの強いストレス、人生の転機での緊張などで発症する例が多い。国内患者は約80万人と推定される。投薬治療などで激しい症状が治まると、徐々に回復することが多い。

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