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1927年製作のクジラ池噴水、国文化財に 名古屋・南区の道徳公園

2021年7月17日 05時00分 (9月10日 11時01分更新)
国の登録有形文化財(建造物)に登録される道徳公園クジラ池噴水=名古屋市南区道徳新町で

国の登録有形文化財(建造物)に登録される道徳公園クジラ池噴水=名古屋市南区道徳新町で

  • 国の登録有形文化財(建造物)に登録される道徳公園クジラ池噴水=名古屋市南区道徳新町で
 クジラの形をした名古屋市南区道徳新町の道徳公園クジラ池噴水が十六日、国の登録有形文化財(建造物)に登録されることが決まった。国の文化審議会が同日、登録するよう答申したもの。クジラの頭部分から潮を吹くように水が噴き上がる独特な形は長年住民に親しまれてきたが、登録で名実ともに地域の宝になる。 (竹田佳彦)
 噴水は鉄筋コンクリート製のクジラの形で、石と擬木で護岸を巡らした池の中にある。池の脇にあるハンドルをひねると、頭から水を噴き上げる。開園した一九二七年、コンクリ造形家として知られた後藤鍬五郎が手がけた。全長九・七メートル、幅三・五メートル、高さ一・九メートル。二〇一〇年に実施された市民が市内の隠れた魅力を見つける企画「夢なごや400」で、大賞にも選ばれている。
 公園一帯はかつて「あゆち潟」と呼ばれた伊勢湾の一部で、文化十四(一八一七)年に海西郡塩田村(現在の愛西市塩田町)の豪農、鷲尾善吉が干拓を始めた。公園は新田開発を経て、昭和初期の土地区画整理で開かれた地区に造られた。
 市教委は噴水が「かつて海があった土地の記憶をとどめるもので、地域のシンボル」と言う。登録で「地元以外の市民にも知ってもらい、かつて海だった場所が干拓された歴史に触れてもらえればうれしい」と期待した。
 噴水のある公園は、憩いの場として市民に親しまれてきた。園内を散歩していた女性は「戦時中は疎開で地域を離れたけど、戻ってきて噴水を見た時はホッとした」と振り返る。元イカダ師の大矢久男さん(83)は取材に「小さい時はよく遊んだ。噴水の水でぬれて滑りやすいクジラに上り、落っこちた子もいた」と笑い「地元からの登録はうれしいね」と目尻を下げた。

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