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ビーガン菓子に生きる喜び込め 金沢の難病女性 夢の店舗目指し  

2021年7月16日 05時00分 (7月16日 09時55分更新)
ボランティア(左)らが作るクッキーにOKサインを出す柄田静香さん。ビーガン菓子店のオープンを目指している=金沢市馬替で

ボランティア(左)らが作るクッキーにOKサインを出す柄田静香さん。ビーガン菓子店のオープンを目指している=金沢市馬替で

ネットで資金集め「作って届けたい」

 聴神経や脊髄、末梢(まっしょう)神経などに腫瘍がいくつもできる難病「多発性神経線維腫症Ⅱ型(NF2)」患者の柄田(つかだ)静香さん(40)=金沢市馬替=が、バターや卵など動物性の食材を使わないビーガンの菓子店をオープンさせようと、クラウドファンディング(CF)を始めた。「お菓子を口にする時、生きる喜びを感じてほしい」。自分でレシピを考えたスイーツを多くの人に味わってほしいと願う。(村松秀規)
 「ビーガンの魅力はその自由さにあります。歴史が浅いため開拓の余地があり、動物性食品を摂取しないことで味覚が鋭敏になる。それによって工夫の幅が広がり、自由さと相まって世界が広がるのです」。柄田さんはこう表現する。
 今月八日、柄田さんの自宅の部屋にチョコチップクッキーの香りが漂った。柄田さんのレシピで週一回、市内のボランティア三人が菓子を作っている。焼き上がったクッキーを柄田さんに見せ「OKサイン」をもらったのがその一人、松田美子(よしこ)さん(50)。「材料にこだわっていて、とてもおいしいですよ」と話した。
 今後は自身のブログにレシピを載せることも考えている。作った菓子を届けたい。CFの動機だ。
 大学三年生の時に難病が発覚した。二十二〜三十二歳に三回、聴神経にできた腫瘍や聴神経を摘出する手術を受け、聴力を失い、寝たきりとなり、食事をすることもできなくなった。
 三十二歳から入院し、約一年半前からアパートで在宅療養を始めた。毎日、ヘルパーや訪問看護師らが自宅を訪れ、生活を支えてくれる。コミュニケーションは、筆談を読み取り、キーボード入力や手話(指文字)を活用している。
 「ビーガン・スイーツのレシピ作りがしたい」。約一年前、自宅で菓子作りをすることが目標になった。難病発覚後に健康食に強い関心を抱くようになり、パン店や自然食レストランで働いた経験も、その思いを後押ししている。
 CFは八月一日までで、目標額は三百万円。成功すれば、知人のカフェで柄田さんの菓子をメニューに加えてもらう。そこでファンをつくり、来年一月に専門店を開く。集まった資金はそれらの経費に充てる。
 四十歳の挑戦。言葉に力を込める。「生きるということは、今この時に力を尽くすことです」
◇柄田静香さんのクラウドファンディングはこちらから=

【メモ】多発性神経線維腫症Ⅱ型(NF2)=聴神経や、脳神経、脊髄神経、末梢(まっしょう)神経に多数の腫瘍ができる難病。症状には、難聴やめまい、ふらつき、耳鳴りのほか、手足や顔面のしびれ、知覚低下、半身まひ、若年性白内障による視力低下などがある。発生率は25万〜6万人に1人といわれている。


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