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ふじのくにのオリンピアン・伊藤選手 延期の1年で急成長

2021年7月15日 05時00分 (7月15日 05時03分更新)
1年で急成長し、五輪男子1万メートルに出場する伊藤達彦選手(左)=5月、袋井市のエコパスタジアムで

1年で急成長し、五輪男子1万メートルに出場する伊藤達彦選手(左)=5月、袋井市のエコパスタジアムで

 「一年延期されたことで、自分にもチャンスが生まれた」。東京五輪陸上男子1万メートル代表の伊藤達彦選手(23)は、自身の五輪出場をこう分析する。
 延期された一年間で急成長し、五輪代表の座を手にした。自己ベストは、延期前の二〇一九年末には28分26秒50だったのが、二〇年末には27分25秒73。従来の日本記録も五輪の参加標準記録も上回った。
 世界のトップレベルの選手たちが数秒を詰めるのに全てをささげる中で、一分以上の短縮は驚異的だ。所属するホンダの小川智監督も「出るなら(次の)パリ五輪かな、と思っていた。予想を超える成長」と驚きを隠さない。
 浜松商高から東京国際大に進み、箱根駅伝でも活躍。学生時代から既に注目を浴びていたが、社会人になり「自分でもたくさん考えるようになって練習の質が上がった」と話す。監督、コーチと選手が綿密にコミュニケーションを取り、選手の意見も取り入れて練習メニューを作るホンダの練習環境が飛躍の要因だ。
 加えて、「誰にも負けたくないという精神面」(小川監督)も大きい。それを刺激するのが、伊藤選手が「一番のライバル」と語る同学年の相沢晃選手(23)=旭化成、東洋大卒=の存在だ。
 大学四年、二〇年の箱根駅伝では、ともに「花の2区」を任され、デッドヒートを繰り広げた。伊藤選手は五人を抜き、八位までチームの順位を押し上げたが、区間一位は相沢選手だった。昨年末の日本選手権でも、ともに五輪参加標準記録を切ったが、五輪内定が決まったのは優勝した相沢選手だけ。二位だった伊藤選手は持ち越され、好記録にも「喜びきれない」と唇をかんだ。
 五輪本番は、ライバルとの再戦の場でもある。「相沢選手だけには絶対負けたくない」
 この一年、競技に対する考えが深まり、その成果は記録にはっきり表れた。さらに、悔しさも味わい、負けたくない気持ちも強まった。全てをぶつけるときは、もうすぐに訪れる。

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