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【北の富士コラム】すごい切れ味の“腰投げ”で勝った豊昇龍 やはり血は争えない まるで朝青龍の再来である

2021年7月13日 05時00分

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若隆景(右)を下手投げで破る豊昇龍

若隆景(右)を下手投げで破る豊昇龍

 早いもので、もう9日目である。物事は楽しいと感じると、時が過ぎるのが早く感じるらしい。今場所はつまらないのに早く感じるのはどういうことかな?
 2年ぶりの名古屋場所だが、今のところ楽しいことは一度もない。白鵬と照ノ富士の強さばかりで、あと6日もあるのに優勝はこの2人に絞られた状態だ。これで楽しいと言われても、面白くもなんともない。
 何かうまいものを食いたくても、営業している店がほとんどありません。ホテルのルームサービスもすでに22回。最近はオーダーするのが恥ずかしい。9日目の昼は近所のラーメン屋に行ってみた。
 いつも夕方には閉まっている。去年は来ていないので、勝手につぶれたと思い込んでいたが、「のれん」が出ていたので入ってみる。去年、この店はスープが脂ぎっていないのと、麺の硬さが私好みで、毎年来ると数回は顔を出す。ただ、ここの主人はこわもてで「いらっしゃい」も言われたことがない。
 この日も私が入店しても一べつもしない。「相変わらずだな」と思いながらも、変わらぬ味になぜかホッとした。食べ終わり、席を立って出口に向かう時にポツリとひと言「ありがとうございます」と。少し良い気分になった。もう1回行こうと思ったものです。
 1日休ませてもらって元気回復しました。それでは中入りの相撲でも見るとしますか。宇良が実力者の宝富士を絶妙のとったりで5勝目を挙げた。何とか勝ち越してもらいたい。石浦も6勝。よく体が動いているので、思い切って取ることだ。逸ノ城がうるさい翔猿を落ち着いてさばいて3敗を堅持している。白鵬戦と照ノ富士戦もすでに終わっているので、2桁の星も夢ではない。
 本日の私のお目当ては豊昇龍と若隆景。私の予想は若隆景がまだ1日の長があると見ていたが、豊昇龍は強かった。左上手を引かれ、頭も付けられ苦しい体勢となった。しかし、ここから豊昇龍が本領を発揮した。
 左半身の体勢から下手投げの連発。右からもひねりを効かし、柔道の腰投げのような荒技で、若隆景を豪快に投げ飛ばした。すごい切れ味だったが、やはり血は争えない。まるで朝青龍の再来である。ますます楽しみな力士となってきた。若隆景は頭を上げてしまったのがまずかった。
 御嶽海は目の覚めるような相撲で3敗を守った。こんなにいい相撲を取れるのに、実にもったいない力士である。
 照ノ富士は隠岐の海を不十分の左四つから慎重に寄り切り、全勝街道まっしぐらである。彼の頭には全勝優勝しかないと思われる。そんな自信があの落ち着きにつながっているのだろう。
 一方の雄、白鵬も千代大龍を土俵下まで吹っ飛ばし照ノ富士を追う。それにしても白鵬の相手に千代大龍とは、どうも納得できない。もう少しましな対戦相手はいなかったのか。上位陣の休場で取組作りも大変ではあろうが、少しは波乱を期待できる力士を対戦させるべきだろう。今までの対戦成績や今場所の相撲内容を考えても、全勝の横綱に対戦させたのは明らかに手抜きとしか思えない。
 休場力士が多い今場所こそ、相撲内容でお客さんにお応えしなければいけない。これからは当然、審判部も考えていると思うが、若手の豊昇龍や琴ノ若をぜひとも照ノ富士、白鵬にぶつけてもらいたい。
 9日目は引退した勢がゲストに出演していたが、話の巧みさと歌のうまさには驚いた。好感の持てる力士だったので、一抹の寂しさはある。いっそのこと歌手になるのも悪くない。しかしやめといた方がいい。歌では先輩の私が言うのだから間違いはない。
 力士は強ければ番付が上がるが、歌手はいくらうまくても売れるとは限らない。その点、相撲の親方は楽ちんである。
 さて今夜は何を食べようか。これが一番の悩みである。本当はすしが食べたいが、なじみの店がやめてしまったので行く店がない。やっぱりルームサービスのカレーにしようか。これで5回目。野菜のスパイシーカレー、これがうまい。(元横綱)
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