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大島康徳さんの“アク”も継承を…悲壮感漂わせもがく中日・阿部 同じ背番号5が最期まで貫いた「負くっか魂」

2021年7月10日 09時54分

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2回裏無死満塁、阿部が先制の中犠飛を放つ=9日

2回裏無死満塁、阿部が先制の中犠飛を放つ=9日

◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇9日 中日3ー1DeNA(バンテリンドームナゴヤ)
 亡くなった大島康徳さんは、通算382本塁打(歴代22位タイ)のスラッガーだが、犠飛を打つのもうまかった。通算74は同14位。竜巨特別編で書いた1982年9月28日(ナゴヤ)でも、価値ある犠飛を放っている。
 江川卓から一挙4点を奪い、追いついた9回の猛攻。代打・豊田誠佑、ケン・モッカ、谷沢健一の3連打で塁を埋め、センター左に強烈な打球を上げたのが大島さんだ。試合後はこんな談話を残している。
 「一人出れば、無死満塁になるって確信してた。で、絶対ホームランを打ってやると…。ホームランにはできなかったけどね」
 やはり大島さんクラスの打者にとって、理想はいつだって「382」。「74」の多くは打ち損じだったのだろう。絶対に負けられない試合、4点差の9回、無死満塁。そこでつなごうとしないのがスラッガーであり、本塁打にできなくても凡打では帰ってこないのもスラッガーだった。
 3連打での無死満塁も、センター左への大飛球も同じだった。2回、阿部の先制犠飛である。しかし、謙虚な彼はこう言った。「少し詰まりましたが、最低限の仕事はできたと思います」。チーム状況だけでなく、野球界全体のスタイルは39年前と変わっている。だから「絶対ホームラン」とまでは言わないが、もっと大島さんのような「アク」を出してもいいのではないか。
 今季の阿部が結果を残せず責任を感じ、苦しみ続けていることは見ていれば分かる。「チームのために、少しでも役に立ちたい」と悲壮感すら漂わせ、もがいている。だからこそ! 俺が決める。俺が打つ。目をぎらつかせ、犠飛にほっとするのではなく悔しがるくらいに…。
 「直接話をしたことはありませんが、大島さんが背番号5の先輩だということは知っています。偉大な先輩に少しでも近づけるようにやっていきたいです」
 継承するのは背番号だけではない。大島さんが最期まで貫いた「負くっか魂」である。
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