2019年シーズンは「本塁打狂騒時代」…史上最多の年間6776発[AKI猪瀬コラム]
2019年12月24日 21時37分
イチローの引退に始まり、ナショナルズが球団創設初の世界一に輝いて幕を閉じた2019年シーズン。今季のメジャーリーグを象徴する出来事は、このコラムでも何度も取り上げた「本塁打狂騒時代」に尽きると思います。
結果的に今季は史上最多となる6776本の本塁打が乱れ飛びました。アロンソ(メッツ)が塗り替えた新人史上最多本塁打(53本)を筆頭に、さまざまな記録が生まれました。
マニアックなところではトーレス(ヤンキース)が、地区制が導入された1969年以降初となる同一チーム相手のシーズン13本塁打を記録。トーレスに打ち込まれたのは、史上最多となるシーズン被本塁打(305本)を記録したオリオールズでした。
メジャー30球団で唯一、シーズン40本塁打を記録した打者を輩出していなかったロイヤルズは、ソレアが48本塁打で不名誉な記録を止めることに成功しました。大ブレークを果たしたマルテ(Dバックス)は、メジャー史上3人目となる1試合両打席本塁打を3度もマーク。ストーリー(ロッキーズ)は遊撃手史上最速で通算100号本塁打に到達し、タティス(パドレス)は遊撃手史上最年少でシーズン20本塁打を記録しました。
この他にも多くの本塁打記録が誕生しました。その最大の要因とされている「飛ぶボール」問題は、いまだ明確な答えが出ていません。その一方で、メジャー新記録の4万2823三振、1試合平均8・81三振も記録されました。本塁打量産は「飛ぶボール」、三振数増加は「フライボール革命」に代表される、新たな打撃理論が要因として挙げられています。
この傾向は来季以降も続くのでしょうか。本塁打が「野球の華」であることは間違いないのですが、極端な狂い咲きでは華本来が持っている価値が著しく低下してしまいます。
読者の皆さまには、今季もお付き合い下さってありがとうございました。来季は筒香嘉智選手ら新たな日本人メジャーリーガーの誕生、大谷選手の二刀流完全復活など、楽しみな話題が豊富なシーズンになります。それでは、皆さん、良いお年をお迎え下さい。
(大リーグ・アナリスト)
(大リーグ・アナリスト)
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