1杯の水で生息種を確認 愛知川でアユ遡上など調査
2021年7月5日 05時01分 (7月5日 05時03分更新)
龍谷大生物多様性科学研究センター(大津市)の山中裕樹センター長が、東近江市内を流れる愛知川で、魚類の生息状況を調査している。調査に使うのは、地元住民にくみ取ってもらったコップ1杯の水。水中に含まれる魚類の細胞をDNA分析して種を特定する手法で「データを活用すれば、川の保全や漁場管理の議論をより具体的にできる」と話す。
山中さんは水や大気、土などの試料から生物のDNAを抽出して生息状況を明らかにする「環境DNA分析」の第一人者。水の場合、魚類の表面からはがれた粘液細胞や、ふんに混ざった腸の細胞を取り出し、専用の装置でDNAの配列を読み取ることで、一万種弱まで特定できる。
この手法は目視や捕獲が難しかったり、食用にならず十分に調査できなかったりする生物まで低コスト、高感度で広域的に確認できる。
日ごろから試料を採取して冷凍保存し、平時の生息状況を把握しておけば、重油流出など水質環境が激変する事故の際に「原状回復」の目安になる。
山中さんは二〇〇九年に共同研究を始め、自身の研究室では一五年から琵琶湖や内湖、流入河川の採水、分析を続けている。今回は一部で表面に水が流れなくなる「瀬切れ」が生じ...
関連キーワード
おすすめ情報