<大波小波> ミイラに見た権力と人間の性
2021年7月1日 16時00分 (7月1日 16時00分更新)
ライデン国立博物館所蔵『古代エジプト展』を見た。直立するミイラの棺(ひつぎ)は、美しい彩色がいっそ凄(すさ)まじく、聞きしにまさる迫力。東京展は先日終了したが、巡回展なので、一見をお勧めする。
実に三千年にわたる古代エジプト文明を思えば、古代ギリシャ・ローマに端を発する西欧近代文明も嬰児(えいじ)のようなものだ。いわんやアメリカは、そして欧米に追随してきた近代以降のこの国の歴史は何だったのかと、時間の眩暈(げんうん)のようなものにとらわれる。
そして、それほどの昔から、人類は永遠の命を願ってきたのだ。ミイラたちがその祈りと共に立ちつくす。文字通り墓暴きだ。眺めていていいのかと思いつつ、目を凝らしてしまうのも浅ましい人間の性(さが)だ。
こうして手厚く葬ってもらえたのは、...
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