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西尾市式PFI 理解得られる解決策を

2021年6月30日 05時00分 (6月30日 05時00分更新)
 国は今月、PFI(民間資金活用による社会資本整備)のさらなる積極的な導入を自治体に促す方針を決めた。しかし、かつて、その先駆例として脚光を浴びた愛知県西尾市では、PFIを巡る混迷が五年も続いている。
 PFIは英国発祥で、公共施設の整備や運営に民間の資金、ノウハウを活用する行財政改革の一手法。内閣府によると一九九九年のPFI法成立後、空港や道路、庁舎整備などに八百件強が実施された。国は新型コロナの影響でさらなる財政悪化を見込み、小規模な自治体にもPFIの導入を促すなど、支援も強化する考えだ。
 西尾市は二〇一六年六月、地元五社でつくる特定目的会社(SPC)と契約。二百近い公共施設の解体や新設、運営などを十五〜三十年、総額百九十八億円で一括して任せた。市に所有権は残したまま、SPCが金融機関の融資を受け、設計から維持管理に至るまで「民間の創意工夫」を活用することで、市が直接、事業をするより十八億円削減できるとの触れ込みだった。「西尾市方式」と呼ばれ、全国から視察が相次いだ。
 しかし、その大規模な手法に建設業者らは「事業の丸投げ」「受注機会が奪われる」など反発を強める。一七年の市長選はPFIの是非が主争点となり、「全面見直し」を訴えた新人の中村健・元市議が現職を破り、初当選した。
 中村市長は完成間近だった工事を一時中断させるなど、見直しを進めようとしたが、SPC側は「あまりに一方的」と反発。計八件の訴訟に発展し、うち一件は市側の敗訴が確定した。再びPFIを主争点にして今月二十日に投開票された市長選で、中村市長は再選。「契約解除を含め、早期解決を図る」と述べたが、解除は多額の違約金が発生したり、さらなる訴訟につながる恐れもある。
 西尾市方式の行方はPFIの将来にも影響しかねない。過去、事業者側の都合などによる契約解除は数件あるが、首長交代などのいわゆる「政治リスク」による見直しは前例がない。二度にわたり示された民意の重視は当然だが、「行政の継続性」の観点も無視できまい。解除となれば市側の負担額はいくらで、市民にどんなメリット、デメリットがあるのか。SPC側とも柔軟に協議し、まずは市民への懇切丁寧な説明と、徹底した情報開示が不可欠である。

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