<翔る> フェンシング・佐藤希望選手(34)=福井県越前市出身、大垣共立銀行
2021年6月30日 05時00分 (6月30日 08時46分更新)
初めて五輪に出たのは、二〇一二年のロンドン大会。「そこで競技を辞めようとした」が、この夏、三度目となる五輪のピストに立つ。「まさか出られるなんて。夢にも思わなかった」。何度もあった競技人生の分岐点。そのたびに家族の言葉に奮起した。
家族の支え 3度目舞台
一度目は、初戦で負けたロンドンのあと。「一度でいいから勝つところが見てみたい」と同じフェンシング選手だった夫に言われた。当時、出産して競技を続ける選手はほぼいない。引退も頭をよぎったが、練習拠点となるナショナルトレーニングセンターに託児所ができると知った。「それなら、まあやってみようか」。一六年のリオデジャネイロ大会代表の座をつかみ、8位入賞した。
二度目の出産を経て一八年の福井国体で復帰。地元の大舞台を区切りにしようとも思った。すると「今度は周りに東京なら見に行けるのになあって」。二人の子どもたちにも、ほかの大会にはない五輪の魅力を感じてほしいと心が燃えた。「一人だったらやめていた。こんなに長くやっているのは、家族の支えのひと言です」
実家に息子二人を預け、国際大会を転戦した。コロナ禍になってからは帰省する回数も減った。
深い寂しさ...
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