「1年以上体を動かさなかった」池江璃花子 肩の柔軟性失われず…リレーへ「全ての日本代表の思い背負う」【東京五輪連載】
2021年6月29日 06時00分
◇東京五輪連載「挑戦2021 初の五輪延期を経て」
新型コロナウイルスの感染拡大で1年延期となった東京五輪も、開幕まであと3週間余りに迫った。五輪を目指す選手にとってはコロナ禍により競技活動を制限されただけでなく、五輪開催に対する世論の反発に遭うなど、逆風ばかりだったこの1年。代表切符をつかんだ選手それぞれに苦悩があり、困難に打ち勝ってきたストーリーがある。かつてない逆境を乗り越え、本番での活躍が期待される注目選手を紹介する。
◇ ◇
奇跡のような軌跡を歩み、泳ぎ、池江は生まれ育った東京で行われる五輪の代表を手にした。「今までのつらかったことが、あの一瞬ですごく思い出された。ここまで戻ってこられたんだと」。4月の日本選手権。100メートルバタフライを400メートルメドレーリレーの派遣標準記録を突破する57秒77で制し、東京五輪代表を決めると感極まった。
2018年のアジア大会で日本選手最多となる6冠を達成。最も得意とする100メートルバタフライではメダルは十分に圏内で、金メダルも…。
絶頂期で迎えるはずの東京五輪への道は信じられない形で暗転した。19年2月に白血病を発症。泳ぐどころか普通の生活もままならない日々。同年12月に退院したとき、そして20年に東京五輪延期が決まった後も、東京ではなく24年パリ五輪を現実的な目標にした。
だが、つらい闘病生活でも「1年以上全く体を動かさなかったが、自分の長所の肩の柔らかさが全く変わっていなくて、そのおかげでうまく泳げている感覚は変わっていない」と天性の柔軟性は失われていなかった。まさに水の申し子。そして「パリに出たい気持ち、また強くなってみんなより速く泳ぎたいという気持ちがすごくある。それが原動力」と負けず嫌いや向上心を胸に、再び強く、速い池江璃花子としてプールに戻り、予想をはるかに上回るスピードで復活。パリではなく東京の代表を手に入れた。
迎える東京五輪、「選ばれた種目で自分の力を発揮できるよう頑張りたい。リレーは全ての日本代表の思いも背負ってレースをするので、しっかり気持ちを入れていきたい。終わった後に自分が良かったと思うようなレースができたら」と意気込む。「水泳があって自分ができている」と言い切るほど水泳が好きな気持ち、そしてたゆまぬ努力でたどりついた東京のプールを全力で泳ぎ切る。
▼池江璃花子(いけえ・りかこ) 2000年7月4日生まれ、東京都出身の20歳。171センチ、55キロ。日大3年、ルネサンス。東京・淑徳巣鴨高1年で出場した16年リオデジャネイロ五輪は女子100メートルバタフライ5位。18年アジア大会では6冠。19年2月に白血病を公表し、闘病生活を経て20年8月に実戦復帰。4月の日本選手権で4種目を制し、400メートルメドレーリレーの五輪代表に入った。
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