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キャプテン翼でもああはいかない…久保建英は「ついに覚醒した」ジャマイカ戦ゴールの必然【月刊ラモス】

2021年6月26日 06時00分

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日本―ジャマイカ 前半、先制ゴールを決めポーズを取る久保㊧。右は田中=6月12日

日本―ジャマイカ 前半、先制ゴールを決めポーズを取る久保㊧。右は田中=6月12日

 今年1月の月刊ラモスで、ラモス瑠偉編集長(64)はMF久保建英(20)=ヘタフェ=について「シュートを打たない選手は怖くない」と厳しく指摘した。しかし、ここにきて久保建はゴールに目覚め、U―24日本代表の試合でも2ゴールを決めている。ラモス編集長は「ついに覚醒したよ。久保建は確実に成長している」と目を細める。22日には東京五輪代表メンバーが発表された。いよいよ最後の仕上げ。「目指すは金メダル。ぶれることなくチームが一つになれば、必ずメダルはとれる」と森保一監督(52)率いる五輪代表に全幅の信頼を寄せた。
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 漫画みたいなゴールだった。6月12日に行われたジャマイカとの国際親善試合。久保建が決めたゴールは、キャプテン翼でもああはいかないだろうというゴールだ。
 前半32分、右サイドからカットインした久保建は、右45度の位置からシュート。相手選手3人の股間を抜け、3人目の足に当たってわずかにコースが変わり、最後はGKの股間を抜けてゴールに吸い込まれた。
 久保建は「一人目の股間は狙った」と話していたようだが、よくもまあ、あれだけきれいに股間を抜けていったものだ。2人目、3人目、そしてGKの股間を抜けたのは全くの偶然である。しかし、偶然が生み出した必然のゴールでもある。
 昨年の久保建だったら、あそこでシュートを選択しただろうか。おそらくドリブルして、味方を探して探して、最終的にはパスを選択しただろう。つまり、あのゴールは生まれなかった。
 しかし、久保建は変わった。この先制ゴールの前にもポスト直撃のミドルシュートを放つなど、ゴールに対して貪欲だ。今までの久保建はシュートを打たなかった、いや、打てなかった。しかし、今は最初から狙いにいっている。自分に何が足りないのかを、ようやく見つけたようだ。
 きっかけとなったのはヘタフェの1部残留を決めた5月16日のレバンテ戦での決勝ゴールだろう。勝てば残留が決まるホーム最終戦。1―1の場面でピッチに登場した久保建は後半39分、左サイドから豪快なミドルシュートを決めた。
 勝ちたい、残留したいという思いが素晴らしい集中力を生み出し、鮮やかな勝ち越しゴールを生み出した。リスクを恐れることなく、狙い澄ました1発。このゴールがチームを救い、評価され、大きな自信となった。同時にこの1発で、自分が目指すべきプレースタイルを見つけたのではないか。
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 久保建の新しいプレースタイルは、相手にとっては恐怖だ。予期せぬタイミングで思い切りよくシュートを打ってくる。相手もそれを分かっているからシュートをブロックしにくる。ジャマイカ戦のゴールも、相手選手が3人がかりで止めにきていた。つまり、久保建の回りにはフリーな味方が2、3人いたことになる。
 この場面でシュートを打ったことに価値はあるが、たとえ打てなかったとしても、次にシュートを打てる味方がいるということだ。プレーの選択肢が増えれば、得点の可能性は高まる。
 バルセロナのメッシはゴールもすごいが、打つぞ、打つぞと見せかけて味方を使う。これは駆け引きであり、駆け引きに勝つためには強いシュートが必要になる。相手が一番怖いのは、シュートだ。
 五輪本番の相手はもっとレベルが高い。強いチームは簡単にシュートを打たせてくれない。大事なのはシュートチャンスを逃さないことだ。打てる瞬間に打ち切る。打てば何かが起きる。相手の足に当たるかもしれない。4人の股間を抜けることだってある。偶然を味方にする。それも能力の一つだ。そのためには、まず打つことが重要なのだ。
 基本はトップ下での起用だろうが、そこにこだわる必要はないと思う。MF堂安(ビーレフェルト)やFW相馬(名古屋)とどんどんポジションチェンジを繰り返し、右からカットイン、左からクロスと変化をつける。真ん中で止まっていると狙われてつぶされる。絶えずポジションを変え、動きながらプレーすることが大事だ。
 久保建ももう20歳だ。いつまでも若いなんて言っていられない。世界を見れば18、19歳で活躍しているトップ選手はいくらでもいる。東京五輪で久保が爆発的に活躍しても何の不思議もない。そう信じている。
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 25歳以上のオーバーエージの3選手が加わって、守りの安定感は一気に増した。同時に攻撃も格段に良くなっている。MF遠藤航(シュツットガルト)の切り替えの速さ。DF吉田(サンプドリア)のロングフィード。DF酒井(浦和)の攻撃参加とクロス。いいタイミングでいい縦パスが供給されることで、攻撃のテンポが速くなり、厚みも増した。
 季節はそろそろ夏本番だ。五輪開幕のころにはさらに暑くなる。日本にとってこれほどのアドバンテージはない。私は本気でメダルを取れると思っている。狙うは金メダル。大事なのは、選ばれた18人全員が同じ夢、目標を持ち続けること。メダルを取るという、強い気持ちを持ち続けることだ。
 1968年のメキシコ五輪で日本は銅メダルを獲得した。その後、暗黒の時代が続いたが、Jリーグの誕生、W杯出場と歴史を積み重ね、ここまで発展してきた。選ばれた18選手には、ぜひとも新しい歴史を切り開いてほしい。その力は、十分に備えている。(元日本代表)
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 ◆残留決定弾 今年5月16日に行われたリーグ戦第37節ホーム最終戦、ヘタフェは2―1でレバンテを下して、1部残留を決めた。3連敗中のヘタフェは前半13分にククレジャのクロスをアレニャが決めて先制。4試合ぶりに得点を挙げたが、同30分に追い付かれる。勝ち点3が欲しいボルダラス監督は後半30分、5試合連続のベンチスタートの久保建をピッチに送り出す。このところ攻撃面ではさっぱりだったが、後半39分、相手GKのパスをカットすると、ドリブルからマーカーをかわし、ペナルティーエリア左手前から左足シュート。ここしかないというコースに飛んでゴールネットを揺らした。

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