G.G.佐藤の落球目の当たりに…五輪で起こる想定外の“さらに外” 憲伸さん「ミスの重さがリーグ戦と全然違う」
2021年6月25日 10時39分
◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇24日 中日0-6阪神(バンテリンドームナゴヤ)
川上憲伸が投げ、井端弘和が振る。竜党の心をくすぐるセレモニアルピッチは「結束! 侍ジャパンナイター」の企画として行われた。稲葉篤紀監督が視察に訪れ、野球界の結束を固めるのが目的だ。
川上さんは2008年の北京五輪に出場。予選リーグ3試合と韓国との準決勝、米国との3位決定戦の計5試合に投げた。防御率4・70。銅メダルを懸けた米国戦では、4点を失い負け投手になっている。そんな負の証言にも耳を傾けることが、悲願の金メダルへの大切な一歩だと思う。
「オリンピックって、一球、一球、全てが全力です。集中しまくっている中でも、ミスは起こります。普段、自分のチームでの戦いなら、簡単に切り替えられます。でも、あそこではそうはいかなかった」
語り草となっているG・G・佐藤の落球を、川上さんは目の当たりにしている。準決勝での1度目は降板後、3位決定戦での2度目は登板前。五輪という大きな舞台では、想定外のさらに外の出来事すら起こり得る―。それが北京での苦い味と引き換えに、川上さんが得た教訓だ。
「ミスの重さがリーグ戦とは全然違う。ボール先行になるのが嫌で、ボールゾーンにすら投げたくなかった。審判の判定もそう。予期せぬこと、不利になること、うまくいかないこと…。あらゆることがあるんです」
制球力には絶対の自信があったはずの川上さんが、審判の判定に泣かされたシーンを記憶している。星野仙一監督が公然と異を唱え、審判団の不興を買ったからだとも言われている。国際大会では「日本流」は通用しない。いかなることも受け入れるのが、侍に求められる覚悟なのかもしれない。
救いは自国開催。球場や宿舎、食事面での「あり得ないこと」のリスクは大きく軽減される。「それでもプレッシャーはある。そこをはねのけて金メダルを獲得する侍ジャパンを、楽しみにしています」。戦い、前のめりに倒れた者だからこその証言。重く、深い言葉をぜひとも生かしてもらいたい。
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