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水泳授業、専用マスク使用で2年ぶり 昨年に続き中止の自治体も

2021年6月24日 05時00分 (6月24日 05時00分更新)
プール用のマスクを着けてシャワーを浴びる児童たち=岐阜県本巣市の真桑小学校で

プール用のマスクを着けてシャワーを浴びる児童たち=岐阜県本巣市の真桑小学校で

  • プール用のマスクを着けてシャワーを浴びる児童たち=岐阜県本巣市の真桑小学校で
  • プールの縁に間隔を空けて座り、授業を受ける児童たち=岐阜県本巣市の真桑小学校で
 六月は多くの小中学校でプール開きの季節。昨年に続き、今年も新型コロナウイルス禍で、水泳授業を中止する自治体が相次ぐ一方、二年ぶりに実施する学校も。感染防止のため、プール用マスクを使ったり、プールに入る人数を減らして「密」を避けたり、気を配っている。
 「水をバシャバシャと掛けてみましょう」。六月上旬、岐阜県本巣市の真桑(まくわ)小で三年生が今年初の水泳の授業に臨んだ。先生の呼び掛けに合わせ、自身の胸元に水を勢いよく掛ける児童たちに笑顔が広がった。ただコロナ感染対策でプールに付き物の「歓声」は、ない。昨年はコロナ禍による一斉休校もあり、同校も水泳の授業は中止。三年生が学校のプールに入るのは一年生の夏以来だ。東莉衣沙(あずまりいさ)さんは「しゃべれないのは悲しいけど、プールに入れてうれしい」と喜んだ。
 本巣市では市内の四中学校、八小学校の全てで水泳授業を実施。市教委の担当者は「授業を二年間やらない影響はとても大きい。泳力を身に付けるのは、自分の命を守る意味でも大切」と話す。
 不安を感じる保護者や児童もおり、感染防止策には気を配る。市教委は全ての小学生と、指導に携わる教員用に耐水性のあるプール用マスク計千八百四十枚を準備。飛沫(ひまつ)による感染を防ぐため、児童は準備体操やシャワー時などに着用している。プールの中では外すが、会話をしないようにする。
 真桑小では、更衣室で「密」を作らないようにロッカーの一部の棚を使用禁止に。例年は学年単位で二〜三クラスの児童が一斉にプールに入っていたが、今年は一クラスずつに分けた。保護者の意向で水泳の授業に参加しない児童は全校約五百三十人のうち三十人ほどおり、授業中は図書室で泳ぎ方などを解説する動画を見せている。白木和雄校長は「当初は不安もあったが、子どもたちが更衣室やプールで『話をしない』などの約束をきちんと守ってくれ、とても安心している」と話す。
 他にも岐阜県多治見市や三重県四日市市、尾鷲市などでも小中学校で水泳の授業を行う。多治見市の昭和小は、着替えやシャワー時に着ける不織布マスクを用意。水にぬれると使えなくなるため、児童に二枚ずつ配る。ある教委関係者は「感染対策も水泳授業も、どちらも大事。両者のちょうど良いバランスを探りながら対応を考えていくしかない」と打ち明けた。
 スポーツ庁は「不必要な会話や発声をしない」「間隔は二メートル以上を保つ」などの対策を示し、担当者は「感染防止に配慮し、できる限り授業を実施してほしい」との考えだ。
 ただ、中止する自治体も相次ぎ、同じ自治体の中でも学校によって実施と中止の判断が分かれるケースもある。児童生徒数が多かったり、更衣室やプールサイドが狭かったりすると「密」対策が難しい事情も。昨年に続き中止した名古屋市教委は「感染症への十分な対応が困難なため」と説明している。

「学べないリスク」懸念

 コロナ下の水泳授業について、鳴門教育大の松井敦典(あつのり)教授(水泳教育)は「水中で子どもたちが自身の命を守る能力を身に付ける機会でもある」として「感染のリスクと同様に、授業をしないことのリスクも考えなければいけない」と指摘する。
 二年連続で中止すると、プールで授業を受けない期間が少なくとも三年間に及ぶことになる。「子どもは体が年々成長し、浮きやすさやバランスなども変わる。以前できたから今年もできるとは限らない」と懸念する。
 昨年に小学校で全面実施された新学習指導要領では高学年に「安全確保につながる運動」が導入され、あおむけで浮かぶ「背浮き」や、浮き沈みしながら呼吸を続けて救助を待つ動きなどを学ぶ。松井教授は「泳げなくても、それを自覚し、危険な場所には行かないという能力を身に付ける機会になる」と説く。
 ただ「プールで泳ぐだけが水泳の授業ではない」とも。「教室で水泳の理論を学んだり、泳ぐ動きをイメージトレーニングしたり。水と関わる地域の文化を学ぶなど教科横断的な学びも可能だ」と話している。
 (河原広明)

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