民主主義と権威主義
2021年6月21日 05時00分 (6月21日 05時00分更新)
香港国家安全維持法の施行から間もなく一年となる。民主派を抑え込み、権威主義を強める中国。一方、選挙を通して民主化を実現したミャンマーではクーデターが起き、軍事政権が生まれた。強まる権威主義、衰退する民主主義。世界はどこに向かおうとしているのか。
民主主義と権威主義 政治学では、非民主主義の体制を権威主義とする考え方もあれば、民主主義と全体主義の中間にあるのが権威主義とする捉え方もある。民主主義の定義もさまざまだが、米国の政治学者ハンチントンは、著書『第三の波』で、自由で公正な選挙に基づく政治システムを民主主義と定義し、それは「言論、出版、集会、結社という市民的、政治的自由の存在を含んでいる」と述べている。
先進国も問題に直面 アジア経済研究所上席主任研究員・川中豪さん
ミャンマーでは、軍事クーデターで民主政権が崩壊しましたが、こうした形で民主主義が崩壊した国は、二〇〇〇年代以降の世界では多くはありません。むしろ、市民の自由が徐々に制限されて民主主義が侵食される国が目立っています。
一九七〇年代から九〇年代の「第三の波」の時期、世界中で多くの国が民主化しました。しかし、それら新興民主主義...
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