本文へ移動

【石川】「陽明丸」アニメで広まれ ロシア革命 混乱期800人救出 ロシアで制作中 能美のNPO協力 

2021年6月20日 05時00分 (6月20日 11時05分更新)
日本の子どもたちが描いた自画像を見つめる北室南苑理事長(左)=石川県能美市福岡町で

日本の子どもたちが描いた自画像を見つめる北室南苑理事長(左)=石川県能美市福岡町で

  • 日本の子どもたちが描いた自画像を見つめる北室南苑理事長(左)=石川県能美市福岡町で

 作品に登場 日本の子ども自画像送る


 ロシア革命後の一九二〇年、混乱に巻き込まれた約八百人のロシアの子どもたちを避難させた日本船「陽明丸」をテーマにしたドキュメンタリーのアニメ制作が、ロシアで進められている。石川県能美市のNPO法人が制作に協力しており、日本の子どもたちに自画像を描いてもらい、ロシアに送った。アニメは陽明丸に救われた子どもたちの冒険の物語で、今年末〜来年前半に完成する予定。 (鈴木里奈)
 「自国第一主義が進む中、国や民族を超え、手を携えて相手を思う当たり前のことを忘れず生きる大切さが、アニメを見た人に広がってほしい」。制作に協力するNPO法人「人道の船 陽明丸顕彰会」理事長の北室南苑(なんえん)さん(73)は語る。
 顕彰会に協力を依頼してきたのは、陽明丸に命を救われた祖父母を持つ子孫の会会長のオルガ・モルキナさん(66)。北室さんは二〇〇九年、書展を開催したロシアのサンクトペテルブルクで、陽明丸の船長の子孫を探していたオルガさんとたまたま出会った。北室さんは帰国後、図書館に通い、二年がかりで船長が岡山県笠岡市出身の茅原基治(かやはらもとじ)さんであることを突き止めて伝えてから、親交を続けている。
 ドキュメンタリー制作に協力してほしいと頼まれたのは今年二月。アニメに登場させるため、陽明丸に命を救われたロシアの子どもたちと同年代の日本の子どもの自画像を送ってほしいと頼まれた。会のメンバーが知人を頼り、金沢市と能美市、船長の出身地である笠岡市から、色鉛筆やクレヨンで描かれた小中学生十五人分の自画像を集めて送った。制作会社は陽明丸に関わった米国やフィンランドの子どもにも似顔絵を依頼している。
 北室さんは「陽明丸について世界の人に知ってもらえるチャンス。十年前に船長を見つけてから、ここまできたことは感慨深い」と喜んでいる。

 陽明丸 神戸市の海運業者が運航した客船。1920年、ロシア革命に伴う内戦に巻き込まれた800人の子どもを、ロシア東部のウラジオストクから3カ月かけて太平洋と大西洋を横断し、故郷であるロシア西部のサンクトペテルブルク(旧ペトログラード)に送り届けた。食料や水などを確保するため日本の北海道室蘭市などに寄港した。米国赤十字社がつくったシベリア救護隊が子どもたちの救出を各国に要請していたが、旧ソビエト政府との摩擦を恐れた各国は断り、神戸市の海運会社が引き受けた。貨物船だったが、子どもたちが航海できる客船仕様に改造した。


関連キーワード

PR情報