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<大波小波> マンガ家の「失踪」

2021年6月17日 16時00分 (6月17日 16時00分更新)
 今月十日に出たマンガ誌『月刊コミックビーム』7月号には驚かされた。ただし、マンガにではない。桜玉吉の連載ページにこんな言葉が載ったのだ。
 「5月中旬から桜玉吉先生と連絡が取れず、〆切直前にまる1日自宅前で待機、付近を捜索したものの、深夜になってもタヌキにしか会えなかったため、新作の原稿が間に合わなくなってしまいました」
 タヌキ云々(うんぬん)はふざけてみせているが、「担当編集 高橋」が署名入りで失態を詫(わ)び、「目撃情報募集中」と記している。「失踪?」と心配の声が上がった。
 しかし、結論的には失踪というわけではなかったらしい。7月号の発行直前には、担当編集も桜本人と連絡が取れたとのことだ。
 ただ、桜はこれまで鬱病(うつびょう)で休筆するなど波乱多いマンガ家生活を送り、それをまたマンガのネタにするといったことを行ってきた。
 マンガ家の失踪といえば、吾妻ひでおの『失踪日記』を思い出す。飲酒癖と鬱症状で失踪し、自殺未遂を経てホームレスになった経緯を赤裸々に描いて評判になり、各種マンガ賞を総なめにした。
 自分の苦しみを作品の題材にするのは私小説以来の日本の文壇の伝統だったが、今はマンガに移...

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