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消防設備点検 コロナで消沈 石川県内まん延防止中 大半中止

2021年6月17日 05時00分 (6月17日 09時55分更新)

感染防止のため… でも「人命守れない」

 石川県内で新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置が適用された期間中、県内の十一消防本部のうち八本部が、事業所などで消防設備の点検をする「立ち入り検査」を中止していたことが分かった。昨年度は感染防止を理由に、事業所から実施を断られる例も相次ぎ、各本部の検査数は前年度比で最大77%減少。本年度も計画の遅れを取り戻すのは難しく、署員からは「これでは人命を守れない」と焦る声が漏れる。(寺田結)
 十三日まで、飲食店での酒類の提供も禁じられていた金沢市。市消防局は「まん延防止」期間中の検査を全て中止した。過去には病院や老人ホームの職員から「こんな時期にやるの」と言われた例も。担当者は「感染で重症化しやすい高齢者は、火災ですぐに逃げられない『有事弱者』でもある。最も検査したい場所だが、家族の面会も禁止されている中では、断られるのは仕方がない」ともどかしさを語る。
 同じく、期間中の検査を中止した白山野々市広域消防本部も「医療従事者の業務が逼迫(ひっぱく)している時に行くのは控えよう」との考え。七尾鹿島消防本部も、毎年行う和倉温泉の旅館などでの検査の時期を遅らせた。同様の対応は昨年の緊急事態宣言発令時にも、複数の本部で取られた。
 立ち入り検査は、消防法に基づく義務だが、やらなくても罰則はない。消火器の使用期限切れなどが発覚すれば、交換費用などがかかるため、ある消防署員は「コロナ禍で経営難の飲食店に、今はお金がないと言われたら、無理は言いにくい」とも。消防庁は一月、各都道府県に対し、緊急事態宣言が発令された地域では事業所側からの点検報告の期限に猶予を持たせるように通知した。

自粛 続けられない

 一方で、検査を「通常通りやっている」と答えた本部もある。能美市消防本部は昨年度、四〜六月の検査を中止した結果、検査数は前年比で約四割に激減。これ以上自粛し続けるのは難しいと考えた。現状で、実施を断られた例はないという。小松市消防本部も、事業所の意向を確認しながら検査を続けている。
 コロナ禍以降、全国では飛沫(ひまつ)感染防止のビニールシートが燃える火災が発生。アルコール消毒液の可燃性も指摘されている。検査の必要性が高まる中、各本部は電話での事前確認を増やし、最少人数で訪問するなど安全な立ち入り検査に工夫を凝らす。金沢市消防局の担当者は「コロナ禍でも火災のリスクは常にある」と強調し、火災予防の重要性への理解を求める。

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