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中日春秋

2021年6月16日 05時00分 (6月16日 05時01分更新)

 米ソ冷戦時代に東欧でささやかれた小話という。「第二次大戦が終わった当時、楽観主義者は英語を習い、悲観主義者はロシア語を覚えた」「いまは?」「楽観主義者がロシア語を習い、悲観主義者は中国語を学習する」
▼磯村尚徳編著『フランス・ジョーク集』から引いた。戦車で踏みにじられた過去があるはずなのに、「ソ連のほうがまだまし、中国の覇権だけは」と人々が恐れるなにかが、小話の底流にはありそうだ
▼現代の「西側先進国」が結束を取り戻した要因も、中国の覇権主義への危機感であろう。先進七カ国首脳会議(G7サミット)は、民主主義的な価値の尊重をうたいつつ、台湾問題などで、中国への懸念を表明する首脳宣言とともに閉幕した
▼国際協調を重視しないトランプ前米大統領の姿勢により、無力感も漂っていたG7である。協調と中国への厳しい姿勢のバイデン大統領の登場は、各国が足並みをそろえる力になった
▼香港からは、民主派の悲観的な状況が伝えられる。中国の変化を促す道筋が見えているわけではないけれど、平和的な解決に向けG7の結束が圧力になればいい。米中新冷戦の激化も国際社会は望んでいない。結束を背景に対話が必要だろう
▼かつて「鉄のカーテン」で仕切られた分断の場は欧州だった。いまは中国の覇権をめぐる緊張の場がアジアにある。日本の役割も重くなった。

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