本文へ移動

(77)11度目の入院 不安 でも頼ればいいんだ

2021年6月15日 05時00分 (6月15日 14時54分更新)
 今月初めから、愛知県がんセンターに入院していました。きょう退院の予定です。
 二〇一五年に舌などの切除手術で長期入院して以来、抗がん剤、放射線などの治療を重ね、これで十一度目の入院です。このところ、食事を取るのが難しくなり、アパートで横になる時間が増えました。体重は過去最低になり、じんましんにも悩まされ、体調と体力の回復を目指しての入院でした。

体力回復を願って24時間点滴の入院生活=愛知県がんセンターで


 五年前に設置した胃ろうも使い、栄養剤など二十四時間の点滴を続け、廊下を歩くときも点滴台を引きながら。でも、なかなか思うような効果が表れず、このまま弱っていくのかもと考えると、涙が止まらなくなったり、いろいろ考えて一睡もできなかったりした夜もありました。コロナ禍で面会禁止だし、他の患者さんと話す機会もほとんどなくて、孤独感が募りました。
 こんなとき支えになってくれるのは、やはり仲間たちです。メールで「退院したら、何がしたい?」と楽しいことを一緒に考えてくれたり、「入院中はたくさん人に甘えて過ごせばいいよ」と励ましてくれたりするおかげで毎日、気持ちを奮い立たせていました。
 ずっと前からお世話になっている看護師さんも、痛みがある背中をさすったり、廊下をヨロヨロと歩いていたら部屋まで付き添ったりしてくださって、人のやさしさ、温かさに癒やされました。
 自分の状態を客観的にみると、当初の目標だった「体重を増やす」「元気になる」を実現するのは難しいようです。でも、それなら頼れることは頼って、助けてもらいながら生活すればいいのだ、と少しずつ考えが変化してきました。一人暮らしで、何でも自分でやるのが当たり前だと思っていたし「元の体調に戻らなきゃ」と必死だったから、思うようにいかなくて、つらい気持ちばかりが先立ったようです。
 これからは介護保険制度や在宅医療なども利用しつつ、今の自分のやりたいことをかなえていける環境を整えていけばいい。そう考えると、少し気持ちが楽になりました。
 この世を去るときに後悔したくないから、状況を受け入れ、考える。今回の入院は、その準備の時間になったかなと思います。(荒井里奈)
    ◇
 あらい・りな 1974年生まれ。岐阜県在住。2015年に腺様嚢胞がん(ACC)で舌を切除。闘病とリハビリを続けている。

関連キーワード

PR情報