本文へ移動

福井工大野球見てくれ! 「五つの心」育て準優勝

2021年6月15日 05時00分 (6月15日 09時46分更新)
試合後、慶応大の堀井哲也監督と健闘をたたえ合う福井工大の下野博樹監督(左)=13日、東京・神宮球場で(戸田泰雅撮影)

試合後、慶応大の堀井哲也監督と健闘をたたえ合う福井工大の下野博樹監督(左)=13日、東京・神宮球場で(戸田泰雅撮影)


 選手の心と向き合い、全員野球で目指した日本一。悲願達成をあと一歩で逃したが、悔しさはすぐに吹っ切れた。「何物にも代えがたい財産ですよ」。十三日まで東京・神宮球場などで行われた全日本大学野球選手権大会で、福井工大を北陸勢初の準優勝に導いた下野博樹監督(60)は言葉に実感を込めた。=<1>面参照 (山本真喜夫)
 

下野監督さあ次へ

 慶応大との決勝は2−13で完敗。「全ての面で相手が一枚も二枚も上手だった」。全国から有力選手が集まる東京六大学の代表校は、七十回の大会史で最多二十七度目の優勝。「何をすれば勝てるのか。もう一つ知恵を絞らないと」。壁の高さを肌で感じたからこそ、目標が明確になった。
 敦賀高から福井工大、電電北陸(後にNTT北陸)と進み、捕手としてプレーした。一九九九(平成十一)にチームが解散し野球から離れたが、二〇〇九年に母校の指揮を託された。初のOB監督として、低迷期にあった福井工大を北陸の常勝チームに押し上げた。
 指導のベースにあるのは、練習前に部員全員で唱和する「五つの心」。「はい、という素直な心」「おかげさまです、という謙虚な心」−。さらに「奉仕」「反省」「感謝」の心。「社会に出て通用する人間にならないと、野球もうまくならないし強くもならない」という信念に基づく。
 北陸大学野球の春季リーグから多くの選手に出場機会を与えた。選手たちは期待に応え、十大会連続の全日本出場を成し遂げた。「一人一人の力は微力でも、無力じゃない」。学生コーチを含め、百八十人近い部員がそれぞれの役割を全力でこなす「フォア・ザ・チーム」の精神は、今年も宿っていた。
 一三〇キロの巨体とサービス精神旺盛な言動で、大会期間中は会員制交流サイト(SNS)でも注目された。「雪国のコンプレックスがある。うちのチームを見てくれ、とアピールしないと。言葉の力で選手のやる気スイッチを入れたりすることもね」。その人柄を慕い、全国の有力高校から選手が来るようになった。
 準優勝の感動と優勝を逃した悔しさで、選手たちは涙を流したという。「チームはもう、次に向けて走りだしている。この思いがあれば何とかなるでしょう」。北陸から日本一へ。ポジティブに突き進む。

関連キーワード

PR情報