本文へ移動

【コミュニティシネマ 街中銀幕から】「若尾文子映画祭」開催

2021年6月12日 05時00分 (6月12日 11時12分更新)
「刺青」の1シーン ©KADOKAWA1966

「刺青」の1シーン ©KADOKAWA1966

 東京都では、緊急事態宣言で四月から出されていた映画館の休業要請がようやく見直された。映画館や劇場などへの要請の基準の根拠が全く見えないという、抗議の声が届いたのか。映画館は、会話も少なく、換気がなされており、比較的安全な施設だと思っている。
 もちろん誰もが感染し、感染させるリスクはあると考えて、店と来場者の両者がマスクや手洗い、不調時には外出を控えるなどの対策は大前提だ。公共の場では、対策を各自が行うことが他人に不快感を与えないためのマナーだとも言えるだろう。と、ことあるごとに自分にも言い聞かせる。
 金沢市でも十三日までは映画館も午後九時までの時短営業を要請されている。六月はすべて午後九時までに上映が終わるようスケジュールを組んだ。この一年、上映が終わるたびに客席を消毒していることもあり、一日の上映回数は一回減。上映回数が多いほうが入場料収入をあげる機会が増えるわけだから大きな痛手だ。それでもできることをやるだけだ。
 昨年から上映を延期していた「若尾文子映画祭」を二十六日から開催する。特に楽しみにしていただいていただろう年配の方々は、コロナで外出に不安も多いのではと思い、様子を見て延期していた企画だ。
 谷崎潤一郎の文学作品を絢爛(けんらん)たるエロチシズムで映画化し、若尾演じる悪女の魅力が炸裂(さくれつ)する傑作『刺青』をはじめ、名匠・川島雄三が軽妙なタッチで自由奔放に生きる芸者の幸せを描いた『女は二度生まれる』、モダンでスピーディなラブコメディーの傑作『最高殊勲夫人』。ほかにも、夫への愛を胸に戦争に立ち向かう代表作の一つ『清作の妻』、逆境に負けない少女の姿を爽やかに描いた和製シンデレラ物語『青空娘』、東京の下町を舞台に、おにぎり屋のチャキチャキ娘の青春を描いた『東京おにぎり娘』など、「映画女優・若尾文子」の魅力が存分に詰まった作品を二週間上映する。
 「こんなときだからこそ、娯楽で明るい気持ちを持つことが大切では」という声がスタッフから上がった。みんなで話し合い、数ある若尾作品から選んだ十作品。女性が持ついくつもの顔を、美しく、しっとりと、ときには軽妙に、壮絶に演じてきた女優の姿を、スクリーンで楽しんでいただきたい。(シネモンド支配人・上野克)

関連キーワード

PR情報