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人間味あふれる「江戸漢詩」 揖斐高・成蹊大名誉教授が選集

2021年6月9日 16時00分 (6月9日 16時00分更新)
七言絶句「水東竹枝詞(すいとうちくしし)」

七言絶句「水東竹枝詞(すいとうちくしし)」

  • 七言絶句「水東竹枝詞(すいとうちくしし)」
  • 揖斐高さん
 江戸期に武士や庶民らが古典の中国語を使い、日々の雑感や志を表現した「漢詩」への注目がじわりと高まっている。揖斐高(いびたかし)・成蹊大名誉教授(近世漢詩、写真)が編集し、岩波文庫から『江戸漢詩選』(上・下)を一〜三月に出版。現代の漢詩人らも、身近な風物を情緒深く詠い上げた江戸の詩人らの精神を受け継ぎながら実作に励む。(林啓太)
 『江戸漢詩選』の上下巻では、日本独特の風情や情緒を表した作品が目を引く。たとえば<妙音宮外夕陽の時>で始まる七言絶句「水東竹枝詞(すいとうちくしし)」。江戸後期の武士・菊池五山の作で、芸者が夕日に草笛を鳴らす姿はどこか哀愁を帯びている。
 日本での漢詩作りは、中国をモデルに国家体制を整えた古代に始まった。儒学が重んじられた江戸期には、武士だけでなく一部の農民や町人にも浸透。女性で名の高い漢詩人もいた。
 実業家・渋沢栄一の生涯を描くNHKの大河ドラマの題名『青天を衝(つ)け』も、渋沢がまだ農民だった幕末に作った漢詩の一節だ。揖斐氏は「漢詩は和歌と並ぶ雅(みやび)の文学であり、俗な俳諧よりも格式が高いと考えられていた」と強調する。
 国語の授業で習う本場中国の漢詩は、...

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