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県知事選立候補予定者 座談会詳報(上)

2021年6月2日 05時00分 (6月2日 10時21分更新)
知事選の告示を控え座談会に出席した立候補予定の川勝平太氏(左)と岩井茂樹氏=静岡市内のホテルで

知事選の告示を控え座談会に出席した立候補予定の川勝平太氏(左)と岩井茂樹氏=静岡市内のホテルで

 三日告示、二十日投開票の知事選に向け、中日新聞東海本社が五月三十一日に静岡市内で開いた立候補予定者による座談会で、川勝平太知事(72)と岩井茂樹前参院議員(53)=自民推薦=が県政の課題を巡り、主張を述べ合った。
 三期十二年の川勝県政の評価と新型コロナウイルスのワクチン接種、大井川の水資源や周辺への影響が懸念されるリニア中央新幹線南アルプストンネル工事などをテーマに、それぞれの思いを熱く語った。詳報を二回に分けて紹介する。 (司会は林浩樹東海本社編集局長)

◆川勝県政

 −川勝県政三期十二年間の採点は。

川勝氏 県を世界クラスに

 採点は自分ではしないが、評価の声が届いている。まずは小中学校の三十五人以下学級の実現。(担当する)子どもが少ない方が、先生が子どもを大切にできる。子ども医療費の実質無償化は、市町の協力を得て実現した。
 県の立ち位置を世界クラスに押し上げた。富士山の世界文化遺産登録や茶草場農法の世界農業遺産登録など二〇一三年から八年間で、世界クラス(として県がリストアップした)の人材や地域資源が九十六件に上った。ラグビーワールドカップでは、エコパスタジアムで(日本がアイルランドを破る)静岡ショックが起き、レガシー(遺産)になっている。

岩井氏 経済失われた12年

 評価は県民が行うもので、挑戦者の立場から評価はしない。コロナ禍の向こうの静岡の展望を示したい。
 ただ、新型コロナウイルスのワクチン接種率は五月二十三日時点で全国ワースト四位。経済面では「失われた十二年」と言う人もいる。
 静岡茶は全国一位であるべきだと思うが、産出額は鹿児島県に抜かれ、二位になった。児童生徒の不登校率は全国ワースト四位。さまざまな面で厳しい数字がある。
 静岡県は地理的な利点が多いにもかかわらず、若者の流出や人口減少がどうして止まらないのかという疑問もある。

◆コロナ

 −ワクチン接種を速やかに行うための方法は。

川勝氏 全首長と情報共有

 ワクチン接種率が低いのは、人口あたりの医師数が少ないためだ。四月時点では、高齢者への接種が七月中に終わる市町はひと桁だった。全市町の首長とウェブ会議で情報共有し、集団接種やワクチン班の設立、医療従事者への協力金など要望が上がってきた。全てかなえた結果、五月三十一日時点で全市町が七月末までに高齢者接種を終えられる見通しになった。
 余ったワクチンを防災のとりでである自衛隊や、幼稚園、保育園、学校の先生から行ったほうがいいという意見があり、高齢者以外の接種時に生かしたい。(接種率の)順位でなく速やかに円滑に接種することが重要だ。

岩井氏 打ち手不足総力戦

 知事主導による接種体制の構築が重要だ。国と連携し、ワクチンを確保し、市町への支援を増やす。打ち手不足には総力戦が必要。医師、歯科医師、看護師に加え、薬剤師やかかりつけ医に協力を仰ぐ。潜在的な有資格者の掘り起こしも進める。コロナには災害など有事の対応が必要だ。各市町への県職員派遣で、マンパワーを送る。接種会場は県有施設や民間施設の使用も検討しても良いのではないか。
 自治体独自の優先接種枠の導入では、介護従事者や保育園、学校、飲食店や公共交通機関の従事者など地域に合った選択肢が必要だ。

◆リニア

 −リニア中央新幹線南アルプストンネル工事では、大井川の水資源や南アルプスの自然環境への影響が懸念される。着工には何が必要か。

川勝氏 流量以外も課題山積 

 県の専門部会での科学的議論で残った流量、水質、生態系、発生土置き場など四十七項目の課題を国土交通省の有識者会議で議論している。
 トンネル工事では、山梨県だけでも三百万〜五百万立方メートルの水が流出する。JRは(トンネル湧水を全量戻す)約束を破り、(最大二十年かけて工事後に静岡県に戻す代替案を出したが)ほとんど赤信号。有識者会議では青信号と結論が出そうで危険だ。
 四十七項目について地元を含め、安心となれば、県条例に基づきJRと自然環境保全の協定を交わす。
 (国交省の)審議官と鉄道局長は流域市町に中間取りまとめ案を説明しただけで「理解を得た」と発言し、反発を生んだ。手続きを踏まえ、初めて着工できる。

岩井氏 全関係者で円卓会議

 モニタリング体制の整備とリスク対応が重要だ。河川の流量や水質、地下水位の状況などをモニタリングし、影響が出そうな兆候を捉える仕組みをまずつくらなければいけない。項目や方法、頻度は当然、有識者の意見を聞き、地元の声もくみ取り決める。モニタリング結果は全部公表し、理解を得ながら進める。
 結果が想定と異なることもあり得る。要因は地質や施工トラブル、気候もあるかもしれない。モニタリング結果を踏まえ、回避軽減策にどう取り組むか、着工前に検討する必要がある。
 リスクの捉え方がJRと地元で異なる。国や県、関係市町、流域住民、JRが一堂に議論する円卓会議を設置し、是々非々で協議して信頼関係を醸成する。英知を結集し、解決したい。

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