本文へ移動

『神の子』横山武騎手のダービージョッキーへの夢を阻んだのが、福永騎手の「経験」だった【本城雅人コラム】

2021年5月31日 06時00分

このエントリーをはてなブックマークに追加
直線で競りあうシャフリヤール(右)とエフフォーリア

直線で競りあうシャフリヤール(右)とエフフォーリア

◇コラム「ぱかぱか日和」
 エフフォーリアとコンビを組む横山武史騎手は「神の子」と呼びたくなるほど、これまで「運」を味方につけてきた。前が包まれたり、邪魔をされたことがない。1枠を引いたこの日本ダービーでも、三列目の内と厳しいポジションで最終コーナーを回りながら、直線では前が突然開いた。だが「運」が強い馬が勝つという格言のあるダービーで、ダービージョッキーの夢を阻んだのが、福永騎手の「経験」だった。

 3コーナーでシャフリヤールの外からM・デムーロ、武豊という勝負師が停滞していたレースを壊しにいった。他の騎手たちもその流れに吸い込まれるように速くなった。ところが福永騎手だけはここに罠(わな)が仕掛けられているかのように、じっとしていた。父ディープインパクトの脚を生かせるこの日の馬場コンディションのために我慢をしたのだろう。直線のコース取りも見事だった。昨日は外が伸びた。きょうは内も伸びたし、外も伸びた。どの騎手もコースに頭を悩ましていたが、コース取りの天才とも言われる福永騎手は、あのコースがベストラインだと読み、そこを真っすぐ走らせた。過去2度のダービーを制した経験力が、2400メートルの随所に表れていた。
 それにしても22歳の若武者、横山武史には悔しい鼻差だった。なにが悪かったのか、少し待つべきだったか、コース取り? 悔いが渦となって押し寄せているはずだ。彼は一つのミスもしていない。3コーナーで他馬が動いた時もシャフリヤールの内で福永騎手同様にじっとしていて、むしろポジションを下げた。それでも大いに悩んでほしい。父の横山典弘が1番人気メジロライアンで2着だったのも22歳、福永祐一がキングヘイローで逃げて大敗したのが21歳だ。その後、父はダービーを2勝し、福永騎手は3勝した。今、この瞬間の悔いが大きければ大きいほど、横山武史を大ジョッキーへと成長させるのである。(作家)

関連キーワード

PR情報

購読試読のご案内

プロ野球はもとより、メジャーリーグ、サッカー、格闘技のほかF1をはじめとするモータースポーツ情報がとくに充実。
芸能情報や社会面ニュースにも定評あり。

中スポ
東京中日スポーツ