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<リニアで変わる街の記憶>(10)飯田市上郷・北条地区 男性(76)

2021年5月30日 05時00分 (5月30日 05時00分更新)
工場の解体を前に、塗料を片付ける男性=飯田市上郷・北条地区で

工場の解体を前に、塗料を片付ける男性=飯田市上郷・北条地区で

 車の板金塗装をする工場を約五十年経営しました。今年二月末で廃業し、もうすぐ工場を解体します。
 社会人になりいったんは就職したが、行くとこ行くとこ倒産し、二十四歳のときに知り合いのディーラーに「やってみなよ」と背中を押してもらってこの仕事を始めた。自分で歩いて土地を探し、ここが堤防と国道に囲まれて広かったので、どうしても欲しかった。地主のところへ買いに行ったら門前払いされたが、銀行を説得して手に入れた。
 年だからぼつぼつとも思っていた。やめどきという意味では、リニア(中央新幹線)が来てくれて良かったのかな。でも切ないな。片付けは極力一人で、ゆっくりやるようにしている。
 二十六年前に建てた今の自宅からは、玄関を開けると工場が見える。解体するときはどんな気持ちになるだろう。夜九時ぐらいに布団に入るが、「お世話になった人に感謝しないといけないな」「これからどうしよう」といろいろ考えると涙が出て、朝四時ぐらいまで眠れない時もある。
 同じ上郷地区内に、年内に移転しようと思っている。今の家は、大工だったいとこの夫が「百年はもつ」と言って建ててくれた。完成した後、がんで亡くなってしまった。その家を壊...

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