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【石川】コロナ禍の社会あらわに 「はりぼて」五百旗頭監督 石川テレビ初作品

2021年5月27日 05時00分 (5月27日 09時57分更新)
29日に放送される石川テレビのドキュメンタリー番組「裸のムラ」の一場面

29日に放送される石川テレビのドキュメンタリー番組「裸のムラ」の一場面

  • 29日に放送される石川テレビのドキュメンタリー番組「裸のムラ」の一場面
  • 五百旗頭幸男さん

◇「裸のムラ」29日放送
忖度、差別、自由「人間の性 感じて」

 忖度(そんたく)される「裸の王様」、差別むき出しの「裸の社会」、車で移動生活しながら自由を追求する「裸の人生」−。三者三様の被写体に迫り、コロナ禍であらわになった社会の断面を伝えるドキュメンタリー番組「裸のムラ」が二十九日、石川テレビで放送される。(辻渕智之)
 ドキュメンタリー制作部兼報道部の五百旗頭幸男(いおきべゆきお)副部長(42)が制作した。チューリップテレビ(富山県高岡市)時代には調査報道で富山市議の政務活動費不正を追及。話題となった映画「はりぼて」を監督した。石川テレビに昨春移り、一年がかりで挑んだ初作品となる。
 被写体の一つは谷本正憲石川県知事。「無症状のかたは石川県へお越しを」といった失言の繰り返しや、周りの県職員らの表情、目の動きをカメラは追う。「長期県政、権力によってつくり出された空気、そして周囲が気を使いすぎる忖度の様子が、どんどんさらけ出された感じです」
 次に金沢で暮らすイスラム教徒の家族が登場する。妻はコロナ禍で「看護師の子どもが『来ないで』と言われたりとか。日本人がよく言う団結、絆、優しさはどこにいったのか」と漏らす。彼らが日本社会で受けてきた「異質なもの」への差別も浮き彫りになる。
 そして奥能登での「バンライフ」。職場を辞め、自宅を売り、車で移動しながら生活や仕事をする人たちだ。コロナ禍で県外ナンバーへの風当たりは強まる。自由な生き方への渇望と、一方で地域や家庭内に起きる葛藤。それらは人生や家族の意味、常識とは何かを問い直してくる。
 番組を通して、社会や人間の「裸」になった自画像が提示され、普段気づかない部分が可視化される。説明的なナレーションが一切入らないのも特徴だ。
 五百旗頭さんは言う。「ある意味、主人公は視聴者です。見た人それぞれに答えが見つかるかもしれないし、見つからないかもしれない。何か答えを導き出そうなんて僕にはできないし、そこは謙虚に描きました。コロナを通して見えてきた社会の本質や人間の性(さが)を感じてもらえたら」
 放送は午後二時〜三時三十五分。

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