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データで見るワクチン接種

2021年7月20日 09時06分 (8月2日 16時12分更新)

五輪開幕へ 「コロナに打ち勝つ世界団結」は実現したか

 東京都に4度目の緊急事態宣言が発令される中、東京五輪が7月23日に開幕する。6月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)の首脳声明では、開催の意義を「新型コロナウイルスに打ち勝つ世界団結の象徴」と表現した。ワクチン接種が進み明るい材料もあるが、世界の現状、そして今後の展望はどうなのか。各国データを踏まえてワクチン接種を考える企画第2弾(初回の記事はこちら)。今回はワクチン格差について分析する。(生活部・植木創太、デジタル編集部・秦野ひなた)

 分析に活用したのは、英国オックスフォード大などが運営し、新型コロナ関連の各国データを収集・公表している統計サイト「Our World in Data」(データで見る私たちの世界)。この企画では、疫学が専門で名古屋市立大学大学院医学研究科公衆衛生学分野教授、鈴木貞夫さん(60)の監修の下、接種率の高さや日本との関わりの深さなどを基準に20の国と地域を選び定点観測している。今回の記事は、五輪開幕1週間前の21年7月16日までのデータに基づいている。



ワクチン格差 浮き彫り

 
 感染拡大がパンデミック(世界的大流行)の状態になったという認識を、世界保健機関(WHO)が示したのは昨年3月だ。戦いに打ち勝つには、免疫を持つ人が大半となり、社会全体がウイルスへの抵抗力を持つ必要がある。
 世界の総接種回数は7月16日現在、36億回を超えた。2回接種が原則とすれば4人に1人が打ち終えた計算だ。
 1日当たりの感染者数は同日正午現在で約50万人(7日間の移動平均)。対策の緩和などに伴い6月下旬から増加に転じたが、ピークだった4月末の3分の2ほど。死者数は4月下旬以降、減少傾向が続き、発症や重症化を防ぐワクチンの効果が表れている。鈴木さんは「1週間に数億回のペースで接種が続けば、死者はさらに減少するはず」と話す。
 気掛かりなのは経済力を背景にした接種率の差だ。少なくとも1回の接種を終えた人の人口に占める割合を見ると、先進国と発展途上国の開きは大きく、ワクチン供給が不十分なアフリカは1割以下が大半を占める。これらの地域で感染拡大が続けば、ウイルスが変異する可能性は高まり、現状のワクチンが効かなくなることも考えられる。
 WHOによると、感染力が従来の2倍近いとされるデルタ株(インドで最初に確認された変異株)は7月13日現在、111の国と地域で確認。新たな変異株も次々に見つかっている。6月のG7サミットに参加したテドロス事務局長は「収束には来年のサミットまでに、世界人口の7割が接種しないといけない」と発言。それには、現在の総接種回数の3倍以上に当たる「110億回分のワクチンが必要」とも述べ、途上国への供給を訴えた。
 また、河野太郎行政改革担当相は7月19日の日本テレビ番組で、ワクチンの供給減を補うための追加調達はしない考えを示した。「世界的にワクチンの需要が高まり、全く打てていない国もある。日本だけ『よこせ』と言うわけにはいかない」と述べている。
 五輪のシンボルマークである5色の輪は、ヨーロッパ、南北アメリカ、アフリカ、アジア、オセアニアの5大陸の団結を意味し、「世界は1つ」という願いが込められているという。「収束の鍵は、ワクチンの分配。いずれの大陸も欠けてはいけない」と鈴木さんは言う。
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