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パリ五輪への夢 駆ける 実業団離れ県内初プロ長距離選手に

2021年5月24日 05時00分 (5月24日 10時03分更新)
犀川河川敷でトレーニングを積むプロランナーの福村拳太さん=金沢市大豆田本町で

犀川河川敷でトレーニングを積むプロランナーの福村拳太さん=金沢市大豆田本町で

◇野々市の福村さん

 二月に誕生した県内初のプロ長距離ランナーが、日本一を目指して黙々と練習に励んでいる。遊学館高校(金沢市)の駅伝競走部出身で、5000メートルを主戦場とする福村拳太さん(26)=野々市市堀内。二〇二四年パリ五輪への出場も見据え、「競技人生の全てを五輪への挑戦に懸ける」と闘志を燃やす。 (榊原大騎)
 福村さんは遊学館高一、二年時に全国高校駅伝競走大会(都大路)に出場。東海大(東京都)に進学すると、一年時に箱根駅伝の6区で区間八位となった。卒業後は実業団チーム「ラフィネ」(同)に所属。マッサージ師として働く傍ら、競技に打ち込んできた。
 5000メートルの自己ベストは14分3秒。東京五輪出場ラインの標準記録は13分13秒で、50秒届かない。「50秒はめちゃくちゃ遠い。でも、長距離は短距離に比べて伸びしろがあり、自分にもチャンスはある」。実業団を離れ、競技に専念する道を選んだゆえんだ。
 だが、プロの道も平たんではない。現在の契約スポンサーは、自ら働き掛けた金沢市の「砂山商事」と「美水クリスタル」のみ。スケジュール管理や練習計画は基本的に自ら手掛ける。県内の陸上競技場の利用はコロナ禍で一部制限されており、犀川の河川敷やスポーツジムなどでのトレーニングに臨む。
 華々しい実績を残してきた一方、支えとなるのはこれまでに経験した数々の挫折だという。
 高校二年の時に都大路で1区(10キロ)を走り、区間三十一位に終わった。さらに上をと過度な練習を積み、右前ももを疲労骨折。復活を遂げ、大学一年にして箱根駅伝に出場すると、好成績に浮かれた。「てんぐになっていたんでしょうね」。大会後の練習で左アキレス腱(けん)近くの筋肉を断裂。練習ができずに気持ちは腐り、ケアすら怠り飲みに行く−。「陸上人生で一番落ちた時期」。再び大舞台で走ることはなかった。
 気持ちを切り替えられた裏には、当時のトレーナーの教えがあった。「飲みに行くのは楽しいかもしれないけれど、人のためにはならない。本当にやりたいことは何なのか」。もがきながら考えた末の答えは「走ること」だった。
 現在、コーチとして陸上愛好家団体「ジュピターランニングクラブ」や中学生の陸上教室「金沢ジュニアアスリートクラブ」にも参加する。「地元の子どもたちと一緒に頑張れるのがフリーの良さ。速く走るだけでなく、自分のように陸上を通して生き方を学んだり成長したりする体験をしてほしい」と望む。
 コロナ禍で大会への出場機会は減ったが、十月には金沢マラソンのフルに初出場する予定だ。「石川の力を底上げしている大会。自分も一緒に元気な石川をつくりたい」。そして日本選手権、その先の五輪へ。一歩一歩、着実に歩みを進める。

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