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「もうラグビーすることはないんだな」ノーサイドの瞬間、福岡堅樹は安堵『ただ治すだけでない医師』目指す

2021年5月23日 21時04分

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有終の美を飾りファンに手を振りながらピッチを一周する福岡堅樹

有終の美を飾りファンに手を振りながらピッチを一周する福岡堅樹

 ラグビーの日本一を決める日本選手権を兼ねたトップリーグ(TL)の決勝が23日、東京・秩父宮ラグビー場で行われ、パナソニックがサントリーに31―26で勝ち、2015~16年シーズン以来5度目の優勝を果たした。日本選手権は6度目の制覇。TL5度の優勝はサントリー、東芝に並んで最多。医師を目指すため既に引退を表明していた15、19年W杯日本代表で、この日トライを決めたパナソニックWTB福岡堅樹(28)は現役生活を終え、有終の美を飾った。03年創設のリーグは新型コロナウイルス禍で途中で打ち切られた昨季を含めて18シーズンで幕を閉じ、来年1月には新リーグに生まれ変わる。
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 走りきった。勝ちきった。プロのラグビー選手としてトップレベルで戦いながら医師を目指す挑戦。自ら決めたフィナーレを、福岡は悲願の優勝で飾ってみせた。
 「唯一、自分自身やり残していたチームでの優勝を勝ち取れて、何一つ後悔なく次の道へ進めます」。場内インタビューの快活な声に、スタンドの4668人から温かい拍手が送られる。
 青い稲妻は、この日もインゴールに突き刺さった。前半30分、SO松田からの飛ばしパスを左隅で受けると、狭いスペースで猛加速。サントリーの中鶴、バレットのタックルを擦り抜け、タッチラインぎりぎりで踏みきり、左腕一本でボールをたたきつけた。
 「力也(松田)と目が合って、外のスペースを使えるようにパスを放ってくれた」と福岡。ギリギリに見えても偶然ではない。「自分の強い形で取り切れるボールをもらえました」
 開幕前は練習と受験勉強を両立させ、4月の順大医学部入学後は学業と練習を両立。「限られた時間を有効に使いながら、けがをしないように自分でケアしながら」出場した10試合で14トライ。貢献はトライだけではない。タックル、ハイボール、キック処理。いつものように、何一つ手を抜かないフルパフォーマンスでパナソニックを5季ぶりの頂点に導いた。
 ノーサイドの笛が鳴った瞬間、福岡は自分のポジションに立ち尽くして喜びをかみしめた。
 「ホッとしたのが一番。同時に、もうラグビーすることはないんだな、という気持ちもじわじわ湧いてきた」
 目指す医師像を聞かれると「患者に寄り添える医師に」と返答した。
 「自分自身何度もけがを経験してきたし、患者さんに共感できるところがあると思う。治すだけでなく、その後の人生も考えた治療、診断をする医師を目指します」
 ピッチを切り裂いた青い稲妻は、患者を救うための次のステージへ、もう走りだしている。

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