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大関陥落で“一度死んだ”照ノ富士…失うものがない男のすごみを身にまとい復帰初V「最後まで力を絞る」

2021年5月23日 20時47分

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大相撲夏場所で優勝し、八角理事長(手前)から内閣総理大臣杯を受け取る照ノ富士

大相撲夏場所で優勝し、八角理事長(手前)から内閣総理大臣杯を受け取る照ノ富士

  • 大相撲夏場所で優勝し、八角理事長(手前)から内閣総理大臣杯を受け取る照ノ富士
  • 優勝を決め、賜杯を手に笑顔を見せる照ノ富士
◇23日 大相撲夏場所千秋楽(両国国技館)
 万雷の拍手を背に引き揚げた花道。張り詰めていた緊張の糸がプツンと切れた。大関照ノ富士(29)=伊勢ケ浜=は急に顔をしかめると、目頭を手でぬぐった。
 苦しかった。独走だったはずが、11日目の反則負けをきっかけに1差まで詰め寄られた。「そうですね。でも、やっぱりそういうことも。15日間全部思い通りにいくわけないし」。黒星を悔やむより、ひたすら前を向き続けた。
 貴景勝にあっけなく本割で敗れ、嫌なムードが漂った。優勝決定戦は過去3戦3敗と縁がない。でも迷いはなかった。「いつも通り、やってきたことを信じて」。復帰した大関としては史上初となる優勝で、大関初優勝に花を添えた。
 鍛錬を重ねた力士の手形は人気があり、それを求める関係者や相撲ファンは多い。大関復帰を決めた照ノ富士も、先場所後に数百枚の色紙に手形を押した。
 大関になると色紙の右上に「大関」、左下にしこ名と2つの落款を押すことができるが、照ノ富士は色紙の半分は落款を押さずに残した。
 横綱は右上に「日下開山」、左下には「○代横綱」「しこ名」と3つの落款を押せるからだ。すぐにでも横綱になってやる。そういう思いからだった。
 大関から陥落した時、一度死んだ。再起をかけると決めた時、失うものがない男のすごみを身にまとい、生まれ変わった。
 表彰式では呼び出しの肩を借りながら土俵を下りた。古傷の膝は悲鳴を上げるが、そんなことはどうでもいいと言わんばかりに「普通です」と受け流す。
 名古屋場所で初の綱とりへとつながった相撲人生。「長く相撲を取れたらありがたいと思いますけど、何が起こるか分からないので。力が出せるうちに自分の力がどこまで通じるか試して、引退するとき全てを出し切りましたと、自分で満足したいと思ってます。最後まで自分の力を絞りましたって、胸を張って言いたい」。最後は思いの強い人が勝つ。そう思い知らしてみせる。

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