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チーム打率2割2分8厘でセ・リーグ制した”オレ流・落合博満思考”東大勝利の陰に「考え抜く野球」【増田護コラム】

2021年5月23日 13時01分

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現役時代の落合博満さんと井手コーチ

現役時代の落合博満さんと井手コーチ

 東大野球部がついに連敗を止めた。23日の東京六大学春季リーグ、法大戦(神宮)。導いたのは2年目の井手峻監督(77)。中日ドラゴンズOBである。
 就任時、井手さんは「教科書になるような野球をやる」と筆者に話した。弱くても勝てるという意味だと理解した。大きな影響を受けたのは中日時代に接した落合博満さんの思考だったようだ。
 「打率を稼ぐのはピッチャー返しだと言っていた。数字が上がったらホームランを狙う。打率が下がったらまたピッチャー返し」。このスタイルで常に三冠王を狙ってきた落合さん。その理詰めの野球が東大生向きだと判断し、井手さんは部員にも伝えてきた。「彼は野球はずっと考えてきた。ぼくはそこまでつきつめなかった」とも井手さんは言う。
 考え抜くのが落合流。筆者がドラ番だったころ、落合さんに「打球が一番飛ぶ方向はどこだ?」と問われた。「右打者ならレフトじゃないですか」と答えた。すると「なんで両翼が90メートルでセンターが120メートルなのか考えれば分かるだろ」。井手さんが言うセンター返し理論につながる話だろう。
 落合さんは監督時代は勝利にこだわった。併殺の間にあげた1点を守り抜く野球はある意味常識破り。つまらないと酷評もされたが、2011年にはチーム打率2割2分8厘ながら優勝。どうすれば現有勢力で結果が出せるか考えてきた人である。
 東大は22日の時点でチーム打率は最下位の1割8分1厘。トップの3割2分7厘(明大)とは比較にならない。特筆すべき投手力もなく、井手さんは脚力に活路を見いだした。盗塁は21で、2位明大を5つ上回る(22日終了時)。23日の試合も2回、死球の走者に代走を送って二盗させ、先制のお膳立てをした。おそらく相手投手のクセもかなり研究させたはずだ。
 だが頭でっかちではない。無名の投手が短期間で結果を出すためにはリスクを負った投げ込みも時には必要とも説く。頭にあったのはオリックスで活躍した星野伸之投手。球速は120~130キロでも、球の出どころを見づらくさせるなど速く感じさせた。ただ、体得するためには練習量も必要というわけだ。
 井手さんは「一つ勝てば変革が起こる」とも話してきた。チームには甲子園経験者が2人在籍し、花巻東からも今年入部し、アメフットからの転向組もいる東大。秋のリーグ戦は目が話せない存在になってほしい。

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