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孤立防ぐ大きな一歩 「ヤングケアラー」国が支援策

2021年5月22日 05時00分 (5月22日 05時01分更新)
2歳の妹の世話をする小学2年生の沖さん(左)=1999年、沖さん提供

2歳の妹の世話をする小学2年生の沖さん(左)=1999年、沖さん提供

  • 2歳の妹の世話をする小学2年生の沖さん(左)=1999年、沖さん提供
  • 母(左)と一緒に高校3年の妹(手前)の文化祭に行った沖さん=2013年、沖さん提供
 きょうだいや家族の世話をする十八歳未満の子ども「ヤングケアラー」の支援策を検討した厚生労働省と文部科学省は、相談体制の充実や学習支援の促進などを打ち出した報告書をまとめた。国の調査では、中学生の十七人に一人がヤングケアラーで、誰にも相談できず、社会的に孤立するケースも多い。静岡県内などで活動する同じ経験がある人からも、大きな一歩と期待する声が上がっている。 (佐藤あい子)
 「ヤングケアラーの気持ちを丁寧にくみ取る支援を」。病気や障害のあるきょうだいのいる人の自助グループ「静岡きょうだい会」(富士市)を運営する沖侑香里(ゆかり)さん(30)は、報告書に期待を寄せた。
 沖さんは小学生の時から五歳下の難病の妹の面倒をみてきた。食事の世話に入浴の介助。楽しみだったキャンプに家族で出かけ、妹の具合が悪くなって途中で引き返したこともある。
 妹も母も必死。誰が悪いわけでもない。だから「私が頑張らないと」と思った。先の見えない介護を思うと、不安に押しつぶされそうになることもあったが、「親を困らせたくない」と気丈に振る舞った。友達に思いを聞いてほしくても、妹に障害があることを話すと「空気が凍ることが多かった」。結局、心の中に抱え込むしかなかった。
 心に閉じ込めた感情と向き合えるようになったのは、大学生の時、同じような境遇の人と経験を分かち合う会に参加してからだ。
 妹は二〇一七年に亡くなった。その頃、沖さんは二十代半ば。ヤングケアラーと定義される「十八歳未満」を過ぎていた。「長期的な支援も必要。教育や就職など、介護のためにできなかったことを支援し、社会に出て行けるサポートを」と訴える。
 北海道の専門学校生(20)は子どもの頃から、母親が精神疾患だった。薬物や酒に依存し、自傷行為を繰り返す母親に寄り添い「つらいんだね」と声をかける一方、十歳以上離れた二人の妹のケアをした。「それが日常。誰かに助けを求めるという発想すらなかった」。孤立から抜け出せたのは、定時制高校の先生とソーシャルワーカーが声をかけ続けてくれたから。
 ヤングケアラーを支えてきた、兵庫県尼崎市のスクールソーシャルワーカー黒光(くろみつ)さおりさんは「世話の対象となる親自身が自分を責め、他人に弱さを見せまいと支援を拒否するケースが多い。家族を孤立させず、地域で支え合う土壌づくりが必要」と指摘する。

 <ヤングケアラー支援報告書> 厚労省と文科省のプロジェクトチームが17日に取りまとめた。病気や障害などでケアが必要な家族の世話や家事をする18歳未満の子ども「ヤングケアラー」がいる家庭に対する支援方針を示した。年齢や成長に見合わない重い責任や負担を負うことで、育ちや教育に影響があるなどと現状を指摘。支援に向けて、地方自治体による現状把握や、福祉・介護・医療・教育などの専門職やボランティアらへの研修の推進、悩み相談でのオンライン活用などを盛り込んだ。


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