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<作られた民意 リコール署名偽造事件> (上)事務局長の野心

2021年5月21日 05時00分 (5月21日 11時19分更新)
送検のため車両に乗り込む田中孝博容疑者(中)=20日午前8時59分、名古屋・中村署で(桜井泰撮影)

送検のため車両に乗り込む田中孝博容疑者(中)=20日午前8時59分、名古屋・中村署で(桜井泰撮影)

 暑、いや、熱かった…。愛知県知事、大村秀章のリコール署名集めが始まった二〇二〇年八月二十五日夕。名古屋駅前に帰宅途中のサラリーマンや私服姿の若者たちが集まっていた。「成功すれば歴史が変わるっ」。視線の先、金髪男性が熱のこもった言葉を吐くたび、人だかりから拍手や歓声が起きた。
 マイクを握っていたのはリコール活動団体会長の高須克弥。インターネット上で言動が注目され、一部で熱狂的な支持を集める「保守派のスター」だ。隣に立つ名古屋市長、河村たかし。二人は華やかで、署名集めの順調ぶりを予感させた。
 「先生、こちらです」。そんな高須の近くで常に側近のようにふるまっていたのが事務局長の田中孝博だった。体調に不安がある高須の足元を注意しながら先導し、横にぴったりと寄り添う。ある運動参加者は「とにかく高須先生に気に入られようとしていた」と振り返る。
 「愛知県が生んだ世界的有名人。あの人だったら付いていってもいいと思った」。田中は本紙にこう語ったことがある。純粋な憧れがあったのは事実だろうが恐らく、それだけではない。
 田中は一九九五年から愛知県議を二期務めたが、大村率いる日本一愛知の会や河村が代表を務め...

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