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(75)ノンアルコールビール 水より食事がスムーズ

2021年5月18日 05時00分 (5月18日 14時43分更新)

 家で自炊するときも、外食のときも、いつも欠かせないのが、ノンアルコールビールです。
 もともと普段からお酒を飲むことはなかったのですが、ビールの味は嫌いではなかったし、料理の味を邪魔しないし、何より嚥下(えんげ)の助けになるのです。
 舌がない私は、口の中で食べ物をまんべんなく咀嚼(そしゃく)してまとめ、のどに送るという動作ができません。舌の代わりにお箸やスプーンで食べ物を歯の上に運び、ある程度咀嚼することはできるようになりましたが、すべてうまくできるわけではありません。そして、のみ込む動作はどうしてもできないので、水分と重力で流し込みます。
 六年前の切除手術後、口から再び食べられるようになったころは、一度の食事で一・五〜二リットルという大量のお水を飲むことになり、それだけでおなかがふくれてしまう上、時間もかかり、とても大変でした。それに、お水やお茶は実は最も誤嚥(ごえん)しやすく、大量に飲むのはよくないことが分かって、試行錯誤の末、私に合ったのはノンアルコールビールでした。
 嚥下のリハビリをする中で「炭酸飲料は飲めない」と聞いていました。それまで飲む習慣はなかったのに、飲めないと言われると無性に飲みたくなり、あるとき試しに飲んでみたら「なんだ、飲めるじゃん、シュワシュワしてさっぱりしておいしい」と感じました。何の根拠もないのですが、私は炭酸飲料を飲むとのどが開くような感覚があり、食べ物がスムーズにのどを通るように思っています。
 そのせいか、今では一回の食事に必要な水分は三百五十ミリリットルの一缶で足りるようになり、水分でおなかがいっぱいになることはなくなりました。よく一緒に外食する親友は注文の時いつも「里奈さんはノンアルコールだよね」と聞いてくれます。
 一人暮らしの私に、両親もいつもノンアルコールビールを箱で差し入れてくれます。空き缶の回収日はいつも袋が満杯。よく遊びに行く親戚の家も、私のために冷蔵庫に冷やしてくれています。
 でも、ノンアルコールビールはノンカロリーであることが多いので、体重を増やしたい私は、高カロリーの商品もあったらいいのになと願いつつ、今日もプシュっと開けてグラスに注いでいます。(荒井里奈)

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