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明生と若隆景 若手同士の火の出るような激しい一番、これこそ銭の取れる相撲というもの【北の富士コラム】

2021年5月16日 05時00分

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明生(右)にはたき込みで敗れ悔しそうな表情の若隆景

明生(右)にはたき込みで敗れ悔しそうな表情の若隆景

◇15日 大相撲夏場所7日目(両国国技館)
 7日目はのんびりテレビ観戦。尾車親方(元大関琴風)の解説が好きで勉強になる。苦労人だけに力士に優しい。私とは大違いである。
 では照ノ富士が全勝を守った一番。対戦する隆の勝にはあまり相性が良くない。隆の勝の低い当たりと左からのおっつけ、右差し一気の出足に、十分の左上手を引けずに負けたこともある。先場所は立ち合いに引っかける注文相撲で勝ちにいっている。
 それだけにあるいは番狂わせと見ていたが、どうしてどうして今場所の照ノ富士はそんな小細工は必要なし。隆の勝が頭で当たった時には、すでに照ノ富士は一歩も二歩も踏み込んでいた。照ノ富士は左は取れなかったが積極的に前に出て、隆の勝が押し返す出鼻をはたき込むとあっさり前に落ちてしまった。
 いらぬ心配であった。やはり一人だけ強すぎる。場所の始まる頃は、膝の調子が良くない話を聞いていたが、とんでもないガセネタであった。初日から危ない相撲は一番もなし。完璧と言って良い相撲内容である。この日の一番でひと山越え、優勝に向かってまっしぐらの勢いである。もう誰にも止められそうにない。せいぜい残る3大関に頑張ってもらうしかないだろう。
 1敗で追っていた高安が惜しい相撲で痛い2敗目を喫した。当たりと押しの強い北勝富士のお株を奪うように、高安が猛然と押して出る。押しの強さでは定評の北勝富士を逆に押し出したかに思ったが、北勝富士の苦し紛れの突き落としに逆転負けとなった。高安は少し攻め急いでしまった。理想を求めすぎたのかもしれない。土俵際では止まることも大事なときもある。あるいはまわしを引きつけて寄っても良かった。
 それから面白かったのは明生と若隆景の一番である。若手同士の火の出るような激しい相撲は、これこそ銭の取れる相撲であった。明生のぶちかましに若隆景も真っ向から押しで応戦。2人とも決して大きい力士ではないが、力の限りを尽くし、久しぶりに相撲の醍醐味(だいごみ)を十分に堪能させてくれた。
 特に若隆景は得難い存在になりつつある。私の思い込みかもしれないが、初代若乃花を感じるのだがどうでしょう。体つきがよく似ている。力も強く、足腰も強靱(きょうじん)なものがある。これから猛稽古と経験で技はいくらでも磨ける。そうだ若葉山も悪くないが若乃花にしよう。また私の夢想が始まった。これで楽しみができた。ありがたい。
 それでは慣例の今夜のメニューは「にしんの三平汁」です。にしんのぬか漬けに大根、ニンジン、ジャガイモを入れた汁です。根菜は体に良いです。ふるさとの味がします。それに「ゴボウのきんぴら」大好物です。それでは。
 よろしかったら、今日はラジオを聞いてください。(元横綱)
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