本文へ移動

コロナ乗り越えた楽都音楽祭 国内演奏家 レベルの高さ示す

2021年5月15日 05時00分 (5月15日 10時42分更新)
風と緑の楽都音楽祭で交響詩「ローマ」三部作を一挙に演奏した大阪フィルハーモニー交響楽団。指揮は秋山和慶さん=金沢市の石川県立音楽堂で

風と緑の楽都音楽祭で交響詩「ローマ」三部作を一挙に演奏した大阪フィルハーモニー交響楽団。指揮は秋山和慶さん=金沢市の石川県立音楽堂で


 昨年は新型コロナのため中止となったクラシック音楽の祭典「いしかわ・金沢風と緑の楽都音楽祭」。今年も開催が危ぶまれたが、海外からは演奏家を招かず、一部無料公演を中止するなどしながら開催した。公演数の減少やファンの敬遠傾向で例年は十一万人が訪れる来場者も約二万四千人と大幅に減ったが、国内演奏家がレベルの高さを示し、音楽を聴く喜びにあふれた音楽祭になった。
 「南欧の風」がテーマ。当初はイタリアなど海外からのオーケストラや演奏家を予定したが断念。代わって招かれた関西の老舗である大阪フィルハーモニー交響楽団が得意とするイタリアのレスピーギの交響詩「ローマ」三部作を、秋山和慶の指揮で一挙に演奏し、兵庫芸術文化センター管弦楽団はオペラ序曲集や映画音楽で観客を楽しませた。音楽祭が北陸で演奏機会の少ない国内オケとの交流の場となる可能性を示した。
 ソリストではチェロ宮田大、ギター村治奏一、バイオリン木嶋真優ら国内若手奏者が熱演。地元のオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)がこれを支えた。オペラ歌手たちによる「オペラ・アリア紅白歌合戦!」など工夫を凝らしたプログラムも多かった。
 一昨年からの左手のピアニストのオーディション優秀者によるコンサートは音楽祭の大切なイベントになった。一年越しで演奏できたピアニストたちには感慨もあった。左手のピアノの第一人者である舘野泉は「客は音楽に飢えている。戦後間もなく何もない時に文化行事に皆が喜んで心を重ねた時のことを思い出した」と話した。
 実行委員会は感染対策に万全を期す一方、舞台裏ではコロナの感染状況に応じて公演数やプログラムの変更をシミュレーションしながら準備した。これまで音楽イベントではクラスターが発生していない状況も開催を後押しした。
 他の多くの音楽祭やイベントが中止、延期に追い込まれる中、実行委の池辺晋一郎会長は「国内演奏家だけでもこれだけできたという自負はある。開催したことで音楽界やイベント企画者に元気を与えた」と総括。ファンが生の音楽を聴く喜びを実感したのは間違いなく、池辺は開催で「この音楽祭が一皮むけたというどころでなく、一段強くなれた」と胸を張った。 (松岡等)=敬称略

関連キーワード

PR情報