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若隆景の“頭脳的”取り口に脱帽! いくら褒めても褒めたりないぐらい素晴らしい力士になってきたなぁ【北の富士コラム】

2021年5月12日 05時00分

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若隆景(左)が寄り倒しで朝乃山を破る

若隆景(左)が寄り倒しで朝乃山を破る

◇11日 大相撲夏場所3日目(両国国技館)
 3日目も大関が一人負ける。正代も危なかったが何とか持ちこたえた。この二番は後に回して、上位陣の土俵を振り返るとしよう。
 高安は先場所の初日に負けた相手である。高安が最も嫌いなタイプの一人だ。かなり手を焼くと見ていたが、立ち合いから小刻みに突っ張り、何とか懐に入りたい明生を寄せ付けない。高安はこのあたりでつかまえに出ると思わせたが、本人にその気はない。あくまでも突っ張りで勝負をつけるつもりだったようだ。
 明生が頭を下げ潜ろうとするが、冷静に動きを読み、再度頭を下げるタイミングで突き倒した。万全の相撲であった。先場所の魔の終盤3連敗の時とは大違いの取り口だった。今場所はこれで3連勝。内容はいずれも文句なし。先場所の屈辱の3連敗はどうやら無駄ではなかったようだ。
 さて、かど番の正代だが、誠に大きな星を拾ったものだ。相撲は悪いところだらけである。大栄翔がもう少し相手を見て突っ張れたなら楽勝だったろう。正代は俵につま先立ちで残し、左から突き落とすと上体に力が入っていた大栄翔は、たたらを踏んで土俵を飛び出した。
 際どい勝負であったがわずかに大栄翔の体が先に出ていた。まさに命拾いの相撲ではあったが、正代にとっては値千金の勝利である。どうやら相撲の神様はまだ正代に愛想を尽かしてはいないようだ。大いに反省をしてもらいたいものだが、花道を引き揚げる時の表情を見ると、相変わらずのんきなものである。
 大栄翔は突きが少し甘くなっているみたいである。的確に相手の喉元に下から突き上げる相撲を思い出してもらいたい。この日の相撲は実にもったいなかった。これからは一番一番が大事になってくる。
 そして、問題は朝乃山である。2日目は正代を破って意気上がる若隆景に対し、立ち合いに右を差しに出る。若隆景は大きく左に変化し十分の左上手を引いて食い下がった。おそらく作戦通りに事は運んでいるようだ。朝乃山は右は差しているが、下手は取れない。腰も伸びてきた。若隆景は頭をつけ、次第に体勢を低くする。いよいよ反撃の時が来た。左上手を再度引きつけ直し、右の下手も引きつける。実に巧妙な仕掛けと言える。
 大きな朝乃山は逆に動けなくなる。ここが勝機とばかり、若隆景が一気に勝負に出る。朝乃山は投げを打って反撃することもできずに土俵を割った。実に鮮やかに手順を踏んだ若隆景の頭脳的な取り口に、朝乃山はなすすべがなかった。いくら褒めても褒めたりないぐらい若隆景は素晴らしい力士になってきた。
 まだまだ褒めたいところだが、私も腹がすいている。続きは4日目にしましょう。さて、今夜のごちそうは旭川の弟から送ってもらった行者ニンニクの卵とじとスパムおにぎり。1年でも今頃しか食べられない。しかし、猛烈に臭い。精力はつくらしい。2、3日はプンプン臭うが、あしからず。それからスパムにしょうゆで薄く味をつけ、のりでくるんで食べる。ハワイの「ワイアラエカントリー」でプレーをしていると、カートでこのスパムを売りに来る。実にのんびりした話だが、昔は何をしても楽しかったナー。
 それとカボチャの煮物もある。いつも食べ物の話で申し訳ないです。(元横綱)
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