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「まん延防止延長」から一転 緊急事態宣言、愛知にも発令へ

2021年5月6日 22時43分 (5月7日 01時30分更新)
緊急事態宣言の対象地域に追加される方針を受け、厳しい表情で取材に応じる大村秀章知事=6日夜、愛知県公館で

緊急事態宣言の対象地域に追加される方針を受け、厳しい表情で取材に応じる大村秀章知事=6日夜、愛知県公館で

 新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言の対象地域に追加される見通しとなった愛知県。大村秀章知事は6日、まん延防止等重点措置の延長を政府に要請してわずか数時間後、より影響の大きい宣言の対象となることを公表した。対応が一転した形だが、水面下では宣言発令を視野に政府と協議を進めていた。
 「県民の命を守る医療提供体制を維持できなくなる事態がひたひたと迫っている。緊急事態宣言で感染を一気に抑え込みたい」
 大村知事は同日夜、報道陣の取材に危機感をあらわにして、宣言を出す意味を説明した。これまで県民や事業者への規制を強化する宣言には消極的な姿勢を示してきたが、新規感染者の増加ペースが加速し、入院患者も急激に増えていることなどから判断した。
 これに先立ち、大村知事は午後、西村康稔経済再生担当相に電話し、まん延防止措置の期間延長を要請した。知事は西村氏と前日も電話で対応を話し合っており、緊急事態宣言も視野に入れながら、まずは、まん延防止措置の延長手続きをとったという。
 大村知事によると、西村氏が政府コロナ対策分科会の尾身茂会長ら専門家に相談したところ、尾身氏らは「予防的措置で愛知も緊急事態宣言の対象地域に加えるべきだ」と指摘。これを受けて、知事と西村氏は最終的に「宣言の対象に追加するのもやむを得ない」との認識で一致した。

医療現場「妥当」

 愛知県の医療関係者からは「妥当だ」との声が聞かれ、県内の住民に「できる限りの対策をしてほしい」と呼び掛けた。
 県の医療体制緊急確保チームの統括官で、名古屋掖済会病院(名古屋市中川区)の北川喜己副院長は感染者がさらに増えると病床が確保できず、かなり状況が悪くなると指摘。「大阪のような状況になり得る分岐点が今。愛知を加えるのは妥当だ。一般医療にも影響が出かねないとの認識を持って、できる限りの対策をしてほしい」と求めた。
 「緊急事態宣言の対象地域に愛知が加わるのは当然と言えば当然」と話すのは名古屋市立大病院(名古屋市瑞穂区)の服部友紀教授(救急医療)。「東京や大阪で感染者が減っていないのに、愛知だけ減る理由はない。医療者としては、もっと早く愛知にも宣言を発令してほしい思いがあった」と続けた。
 名市大病院では重症者病床を50~60代が占めているという。「ギリギリの状況」と表現した上で、「感染は高齢者に広がる恐れがある。重症者が増えれば受け入れる病院がなくなってしまう。とにかく外に出ず、できるだけ人と接触しないでほしい」と訴えた。

大型施設、夜8時まで「厳しい」

 愛知県内に発令される予定の緊急事態宣言では、東京や大阪など4都府県に出された宣言ほど強い規制は求められない見通しだが、住民の生活に影響は出そうだ。
 飲食店への時短営業の要請については、県内全域を対象に酒類の提供を停止した上で、午後8時までとする。県内で和食居酒屋を経営する男性(62)は「お酒が提供できないなら店を開ける意味がなくなる。苦しいけど、コロナが終われば何年か後に笑い話になる時が来る。それを心待ちに乗り切るしかない」と語る。
 百貨店や大型商業施設には休業ではなく、午後8時までの時短営業を求める。まん延防止等重点措置対象の名古屋市の百貨店の多くは現在、ほぼ通常営業。ある百貨店関係者は「宣言が出れば、客足はさらに厳しいことになるのでは。要請があれば対応を変えないといけない」と説明する。
 感染者が増えると外出自粛などで来店客数が減少するため、業界はこれまでも動向に気をもんできた。別の関係者は「コロナの影響は当面続くと考えていた。できるのは感染拡大防止に努めること。要請を受け止め、対応を検討したい」と話した。
 大規模イベントの入場も無観客とはせず、上限5000人とする方向になるという。プロ野球中日ドラゴンズの加藤宏幸球団代表は「想定外の話で、現時点ではコメントのしようがない」。中日は宣言期間とされる12~31日、名古屋市東区のバンテリンドームナゴヤで9試合を、また、サッカーJ1の名古屋グランパスは、同県豊田市の豊田スタジアムで2試合を予定している。

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