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(74)生きざま 今の生活どう楽しむか

2021年5月4日 05時00分 (5月4日 10時07分更新)
 私の大好きなアニメ映画「鬼滅(きめつ)の刃」に、何度見ても心に強く響くシーンがあります。
 鬼殺隊の柱である煉獄(れんごく)さんは鬼と死闘を繰り広げます。朝が来て鬼は逃げ出すのですが、主人公の炭治郎は、こう叫びました。

カメラの腕を上げようと東山動物園で練習。これも私の生きざま


 「煉獄さんは負けてない! 戦い抜いた! 守り抜いた! 煉獄さんの勝ちだ!」。煉獄さんはそれを聞き、ふっと表情を緩ませ、炭治郎たちに「胸を張って生きろ」と、未来を託して旅立ちます。
 そのシーンに描かれているのは「死にざま」ではなく「生きざま」。見るたびに「煉獄さんのように生きたい」と強く思うのです。
 それは、自分にとってどんな生き方なのか。体調や気持ちによって感じることは毎回違い、「痛いとか弱音を吐いていちゃだめだ、もっと頑張ろう」と気持ちを奮い立たせたり、逆に「そんなに頑張らなくてもいいから、ゆっくり生きよう」と思ったりすることもあります。
 私は、このまま何事もなければ、おそらくがんが原因で死ぬ可能性が高いです。でもその時に「病気に負けたんだ」とか「がんで死ぬなんてかわいそう」などと思ってもらいたくないのです。「あいつ、病気だったけどやりたいことやって楽しそうに生きてたよな、すごい!」と思ってもらいたいのです。そして「うん、すごいでしょう! 楽しかったよ」とニヤリと笑って死にたいのです。
 そんな最期を迎えるために、今の自分がどう生きるかを常に考えるようになりました。これって、国が進めているアドバンス・ケア・プランニング(ACP)と重なる部分が多いように思います。
 本来のACPは、患者さん本人や家族が、医療・介護関係者と一緒に、終末期を含めた「今後」について、あらかじめ話し合うプロセスのこと。思いは常に変化するので、何度も繰り返し考えて、希望を更新していくことが大切なのですが、現状では、死ぬ場所や死に方ばかりが注目され、「どう生きるか」がなかなか前面に出てこない気がしています。なので、私にとってのACPは「鬼滅の刃」を見て、涙を流して「生きざま」を考え、今の生活を楽しんでいくことだと位置付けています。
 昨年十月の公開から今までに十三回見ました。映画の公開が終わっても見られるよう、DVDも予約しています。(荒井 里奈)

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