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【石川】男女不平等 コロナで露呈 半数が非正規、求人3割減 経済的圧迫、DV相談最多

2021年5月3日 05時00分 (5月3日 11時26分更新)

 長引くコロナ禍が女性に深刻な影響を及ぼしている。女性の雇用で半分を占める非正規職は働く機会が失われ、求人減。配偶者やパートナーからの暴力の相談は最も多くなった。憲法の保障する「男女平等」や「両性の本質的平等」が実現されていない社会のひずみがあぶり出されている。 (高橋雪花、堀井聡子、辻渕智之)
 「住まわせているのだから家賃を払え」。家庭内別居をしている無職の女性に、夫が要求してきた。昨年、国が一人に十万円ずつ支給した特別定額給付金。夫は女性の分も受け取って渡さず、女性は自分の貯金を切り崩して生活を続けた。
 ドメスティックバイオレンス(DV)や離婚を経験した女性らを支援するNPO法人「ウィメンズ・エンパワーメント金沢プロジェクト」(金沢市)に寄せられた相談の一つだ。
 坂井美津江代表(66)は言う。「元々いろんなストレスや不安があったところに、コロナ禍の行動制限や閉塞(へいそく)感が漬け物石のようにのしかかり、さらにしんどくなっている。女性が経済的に自立できないしわ寄せがDVに向かっている」
 生活費を渡さない経済的圧迫もDVになる。国の調査では昨年四月〜今年二月のDV相談は全国で十七万五千件を超え過去最多だ。
 コロナ禍での女性への暴力を国連機関は「陰のパンデミック(世界的流行)」と警告する。石川県が昨年五〜六月に実施した県民意識調査では、回答した女性六百十四人のうち、配偶者からのDVが「これまでにあった」と答えた女性は36%(二百二十人)いた。うち33%は「この一年間にあった」と答えた。
 金沢市の女性(36)は小学生の娘を育てるシングルマザー。昨夏、派遣先の会社から「能力不足」を理由に契約解除された。派遣先はコールセンターが業務。コロナ禍で暇になり、人手が不要になった。「やっぱ非正規ですよね、切られるのって。私、結構しっかりやってたのに」。この冬はお風呂に入る回数やお湯の量を減らして生活費を切り詰めた。
 全国と同じで石川、富山県も働く女性の半数近くは非正規職員・従業員。二〇二〇年度、両県では非正規のパート職は求人が前年度比で三割も減った。国の調査では女性の非正規労働者の年間収入は百万円未満が43%を占め、男性との賃金格差は大きい。
 労働組合の全国組織「連合」は「女性は医療福祉、宿泊、飲食などの業種業態に就いている例が多く、感染リスクも含めて影響は女性の側に大きく出ている」と指摘する。
 シングルマザーやDV被害者の女性を支援する柴田未来(みき)弁護士(金沢市)は、国のコロナ政策で女性の存在が軽んじられているとみる。昨春、首相の発表から数日後に一斉休校となった。「共働きの家庭や、昼食の心配をする家庭もある。『女性が休めばいい』という考えがあったのでは」
 憲法がうたう男女平等は後退し、二五条の生存権も脅かされている。「紙に憲法が書いてあれば実現するのではない。困っている人に大丈夫?と声を掛けられる地域コミュニティーの存在や助け合いが必要」。柴田さんは強調している。

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