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交流・定住 促進なるか ワーケーション誘致進む 仕事 + 休暇 

2021年5月3日 05時00分 (5月3日 10時19分更新)

 新型コロナ禍でテレワークが浸透し、仕事(ワーク)と休暇(バケーション)を組み合わせた「ワーケーション」という言葉を耳にする機会が増えた。観光地などで休暇を取りながらテレワークをする、新しい働き方だ。普段と違う場所でより一層集中できたり、新たなひらめきが得られたり。県内でもワーケーションを誘致する取り組みが始まっている。

海が見える古民家でヨガを体験する西垣さん(左)ら

海と山が美しい高浜町でのワーケーションを満喫する西垣さん(左)ら=いずれも高浜町で

■高浜町

 高浜町は、二〇二〇年にユニリーバ・ジャパン(東京)と連携を開始。同社は一六年から勤務場所、時間を社員が自由に選べる制度を導入している。この新しい働き方に共感する同社内外の社会人でつくる団体「Team WAA!(チーム・ワー)」とも連携し、町はワーケーション事業を推進する。コロナ感染拡大が落ち着いた二〇年十月〜今年三月、チーム・ワーのメンバーを対象にモニターを募集。延べ二十人を受け入れ、町内の民宿などに宿泊してもらった。
 新しい働き方の可能性を試そうと、有給を取って東京から二泊三日で参加した西垣雅代さんは「穏やかな海と青葉山が予想以上に美しかった。居心地が良くて仕事もはかどった」と、ワーケーションに手応えを感じた。大成寺での坐禅(ざぜん)や海が見える古民家でのヨガなども体験。「温かく接してくれた町の人たちとは今も交流している。コロナが落ち着いたら再訪したい」と、すっかり町に魅了された様子だった。
 町の担当者は「今後はまちづくり団体にも事業に協力してもらい、ワーケーション滞在者に地域づくりの催しなどに参加してもらえたら」と展望を話す。

日本海を一望しながら仕事に集中できる「越廼サテライトオフィス」=福井市で


■福井市

 越前海岸沿いに位置し、日本海が一望できる大きな窓から波しぶきや沈みゆく夕日などが眺められる、テレワーク推進拠点「越廼サテライトオフィス」(福井市居倉町)。市は一九年に開設したこのオフィスの活用に力を入れる。景色を楽しみながら静かな環境で集中できるのが魅力。Wi−Fiやプリンターなども整備している。
 観光については、地域の事業者らでつくる団体「越前海岸盛り上げ隊」が展開する体験メニューと連携。塩作りや漁業体験、乗馬などを通じて地元の人と交流しながら地域の魅力を体感してもらう。
 二〇年十月〜今年一月に全国から十二人のモニターを受け入れた。市の担当者は「思った以上に反響があった」と話す。好評を得たものの、コロナ禍で県外から客を呼び込むことは難しくなった。
 現在、オフィスの主な利用者は近隣住民。東京から移住した版画家で同市越廼・国見地区の地域おこし協力隊員、おさのなおこさん(43)は版画の作業で利用する。「海と山が近くて本当に景色が良い。クリエーティブな仕事をする人にも最適」と、パソコンを使う仕事以外での活用も勧める。「ワーケーションをきっかけに移住、定住する人が増えたら」と今後に期待している。

取材後記 成田真美記者


今後の展開に注目

 自然豊かな場所で集中して仕事に取り組むもよし、家族と一緒に観光しながら短時間だけ働くのもよし。ワーケーションにはさまざまな形がある。
 コロナ禍も追い風となり、可能性に期待が高まるが、制度のある会社はまだ少ない。業務を伴うとはいえ、旅費は自己負担なのか、労務管理はどうするのか、などの問題もある。受け入れる側もWi−Fi環境や交通機関の整備などが必要で、事業推進を模索している段階だ。
 県定住交流課によると、県内では現在、9市町に18カ所のコワーキングスペース(共用オフィス)がある。これらを活用し、ワーケーションが今後どのような展開を見せていくのか。注目していきたい。

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